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【泉鏡花】「龍潭譚」(りゅうたんだん)〜謎の羽虫が飛び交う野道
2018/10/07
「龍潭譚」(りゅうたんだん)は明治29年発表の短編小説;かの澁澤龍彦も三島由紀夫との対談で、鏡花を初めて読んだのがこれだったと語っている。 ●参考記事→澁澤龍彦【三島由紀夫おぼえがき】中公文庫版〜レビ ...
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【谷崎潤一郎】「細雪」(ささめゆき)〜遅すぎる婚活・昭和初期バージョン
2018/10/03
この作品は谷崎先生が第2次世界大戦中、戦火を逃れながらひたすら書き綴った長編小説の名作。中央公論に掲載されわずか2回で軍部の干渉に遭い発表中止さるるも、先生は作品を書き続けた。 幸子のモデルは谷崎松子 ...
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【泉鏡花】「義血侠血」(ぎけつきょうけつ)〜「滝の白糸」原作・感想とあらすじ
2018/09/30
難解な文章の原作を、読者に代わり映画と比較などしつつ簡単に解説する。 *参考YouTube動画→The Water Magician / 滝の白糸 (1933) (EN/ES) ストーリー 一行は宣伝 ...
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【谷崎潤一郎】「痴人の愛」〜冷酷で淫らな若い妻をヴィーナス像のように拝む中年の夫
2018/09/23
この小説は文庫版で300ページほど;長編に分類されるが微塵も長さを感じさせず、あっという間に読み終わる。ストーリーは一人称で”です。ます。”調の丁寧な現代語の語り口で進む; しかし谷崎潤一郎先生を読む ...
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【泉鏡花】「琵琶伝」あらすじ・感想〜許されぬ恋・明治時代のロミオとジュリエット
2018/09/22
遺言 泉鏡花の短編小説「琵琶伝」は明治29年1月”国民之友”誌にて発表された。当時はまだ親の決めた相手と強制的に結婚させれる風習だったのだろう;お通なる女が従兄弟の謙三郎と好き合っているにも関わらず、 ...
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【谷崎潤一郎】「春琴抄」〜盲目の男女師弟が行き着いたサド・マゾヒズムの境地
2018/09/13
谷崎潤一郎氏の1933年発表の小説「春琴抄」のレビュー。音曲の名家”春琴”こと本名・鵙屋琴は実話をもとにした人物ではなく、物語は完全なフィクションである。 概要 まずその長さであるが、休みの日の午後ち ...
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【エドガー・アラン・ポー】「楕円形の肖像」〜女の命を吸う画家の筆
2018/08/21
創元推理文庫”ポー小説全集”第3巻収録、陰鬱なトーンの珠玉の短編「楕円形の肖像」を紹介。 あらすじ イタリアはアペニン山、主人公は戦いから逃れてきた騎士であろうか。深手傷を負った体を休めるため、従者に ...
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三島由紀夫【豊饒の海】まとめ(2)〜「暁の寺」「天人五衰」レビュー・解説・感想
2018/08/15
●前の記事はこちら→三島由紀夫【豊饒の海】まとめ(1)〜「春の雪」「奔馬」レビュー・解説・感想 「暁の寺」 第3巻は個人的に一番面白い。ロートレアモンの「マルドロールの歌」が日本語訳で紹介されたのはけ ...
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【ヴァテック】W・ベックフォード作〜ゴシック小説・あらすじ紹介
2018/08/06
「ヴァテック」"Vathek"(または「ヴァセック」)は「オトラントの城」とともにゴシック小説の代表的な作品。正篇と挿話二編に分かれており、カリフのヴァテックの物語である正篇中心に紹介する。 作者につ ...
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【エドガー・アラン・ポー】短編「壜のなかの手記」〜沈没寸前の船で書かれた秘密の告白
2018/08/03
「残りの命はや一瞬もない者は、何ごとをも包み隠さぬ。」という17世紀フランス劇作家キノオの引用から始まるこの短編小説は、創元推理文庫ポー小説全集1巻の冒頭を飾る名篇。 作品概要 メッセージを書いてあり ...