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三島由紀夫『潮騒』レビュー|純愛と神話が交錯する歌島の物語

三島由紀夫『潮騒』レビュー|歌島に響く純愛の“しおさい”舞台:三重の孤島・歌島物語の舞台は三重県沖に浮かぶ小さな島、歌島。現在は神島と呼ばれ、八代神社が祀られる観光地として知られている。この小説が発表されたのは1954年、戦後わずか9年後と...
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三島由紀夫『肉体の学校』レビュー|ゲイ・バーから始まる洒脱な恋と別れの物語

三島由紀夫『肉体の学校』を紹介|ゲイ・バーから始まる自由な愛の物語洒落た小説と錯覚する映画的テンポ『肉体の学校』は三島由紀夫の長編ながら、とても軽快なテンポで読める作品だ。タイトルから過激で艶めかしい物語を想像してしまうが、実際はむしろ小粋...
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三島由紀夫『豊饒の海』レビュー(後編)|「暁の寺」「天人五衰」の要約・考察と輪廻の崩壊

三島由紀夫『豊饒の海』レビュー(後編)〜「暁の寺」「天人五衰」の要約・感想と最終章の謎●前編はこちら:三島由紀夫『豊饒の海』レビュー(前編)|「春の雪」「奔馬」の要約・感想と転生の思想■第3巻『暁の寺』〜転生と欲望の交錯本作の中で筆者が最も...
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三島由紀夫『豊饒の海』レビュー(前編)|「春の雪」「奔馬」の要約・感想と転生の思想

三島由紀夫【豊饒の海】まとめ(1)〜「春の雪」「奔馬」レビュー・解説・感想三島由紀夫が1965年から1970年、自決の日までをかけて執筆した大長編『豊饒の海』は、全4巻からなる壮大な文学的実験である。構想は輪廻転生を主軸に据え、日本的美意識...
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 【三島由紀夫】『音楽』解説|“音楽が聞こえない”女性の症例と戦後の闇

【三島由紀夫】『音楽』解説|“音楽が聞こえない女”と戦後の闇をめぐる精神分析小説またしても、圧倒的な一冊に出会ってしまった。読後の昨夜から、眩暈・吐き気・耳鳴りが続いているのは偶然か? 三島由紀夫という作家の力に、ただただ圧倒されるばかりだ...
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 【三島由紀夫】短編「翼」解説|戦火とともに散る恋と“飛べない翼”の寓意

【三島由紀夫】短編「翼」解説|背中で触れた“幻の翼”と戦火に散った乙女の記憶三島由紀夫の短編小説「翼」は、1951年(昭和26年)5月に『文学界』に発表され、自選短編集にも収録された作品である。今回はあえて三島自身の解説を読まず、筆者の読後...
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【三島由紀夫】短編「葡萄パン」感想|マルドロールとティーパーの夜をめぐって

【三島由紀夫】短編「葡萄パン」紹介・感想〜『マルドロールの歌』とダンス・パーティー三島由紀夫の自選短編集『真夏の死』に収録された短編「葡萄パン」は、時代の若者文化と耽美な幻想が交差する一編だ。三島自身の解説も添えられており、それも踏まえて感...
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【夏目漱石】短編「ケーベル先生」感想|静かな書斎で交わされる哲学と幻想

【夏目漱石】短編「ケーベル先生」紹介・感想〜徒然なる夕暮れの静かな語らいケーベル先生の書斎を訪ねてわずか10ページほどの掌編でありながら、深い余韻を残す作品だった。読後に心の奥から静かにこみ上げるものがあり、こうして筆を取っている。主人公と...
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谷崎潤一郎『蘆刈』あらすじと感想|十五夜の幻と源氏物語的恋の追憶

谷崎潤一郎『蘆刈』|十五夜に現れた幻の男と源氏風の恋物語谷崎潤一郎の中編小説『蘆刈(あしかり)』は、秋の月夜にふと出会った一人の男が語る幻想的な恋の回想である。文体は『春琴抄』や『盲目物語』に近く、ひらがなと漢語が交じり合い、句読点を省いた...
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【マンディアルグ『小さな戦士』考察】見るだけの宝物と男の破滅的欲望

【マンディアルグ『小さな戦士』レビュー】見るだけの宝物と理性の崩壊アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの短編集『狼の太陽』(1951年)に収録された一篇「小さな戦士」(生田耕作訳)。この物語は、作者がたびたび扱うテーマ——事物の極端なスケ...