2020-11

疑似学術地帯

ハビアン『南蛮寺興廃記・破堤宇子』レビュー|仏と神を捨てた思想の極北

【ハビアン】『南蛮寺興廃記・邪教大意・妙貞問答・破堤宇子』レビュー|仏を捨て、神も捨てた男の哲学東洋文庫と収録作本書は平凡社の名シリーズ「東洋文庫」第14巻として刊行されている一冊である。検索の際はタイトルに注意。「南蛮寺興廃記」で調べると...
評論詐欺

 【精講 漢文】前野直彬先生 著|ちくま学芸文庫の伝説的参考書を讃えるレビュー

【精講 漢文】前野直彬先生 著|ちくま学芸文庫の伝説的参考書を讃えるレビュー帯からわかる、この本の格の違いちくま学芸文庫といえば、小さな文庫サイズに本格的な学術書が詰まったシリーズです。本書『精講 漢文』の帯にはこうあります。「中国の歴史や...
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芥川龍之介「切支丹物」を読む|信仰の違いと日本人の本音

【芥川龍之介】切支丹物・レビュー|日本の信仰と西洋の信仰が出会うときテキスト岩波文庫『奉教人の死・煙草と悪魔』を手に取り、芥川龍之介の“切支丹物”と呼ばれる短編13作を読んだ。個人的には芥川作品の中でも、王朝物のような平安時代の雅な短編に惹...
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鴨長明『方丈記』レビュー|3メートル四方に広がる無常と詩の世界

【鴨長明】『方丈記』レビュー・感想|高校時代の授業と思い合わせて教師との記憶鴨長明の随筆文学『方丈記』を読むのは、おそらく人生で三度目。だが今回は「三度目の正直」とでも言おうか、ようやくこの作品の本質に触れられた気がする。高校時代、私の通っ...
疑似学術地帯

 『般若心経』中村元訳(岩波文庫)を読む|“馬の耳に念仏”を超えて仏教の真意へ

【般若心経】中村元訳・岩波文庫より考察|“馬の耳に念仏”を超えて仏教の真意へ1. はじめに――「耳にしていたはずの経典」への目覚め「馬の耳に念仏」という諺は、仏教がいかに日本人の生活に浸透しているかを示す一方で、その教義がどれほど無意識のう...
小説の闘牛場

 【夏目漱石】『坊ちゃん』レビュー|荒くれ新米教師の奮闘と江戸っ子気質の痛快さ

【夏目漱石】『坊ちゃん』レビュー|荒くれ新米教師の奮闘と江戸っ子気質の痛快さ作品の概要夏目漱石の代表作の一つ『坊ちゃん』。新潮文庫版で180ページ弱、比較的短くサクッと読める作品だ。「長編でたっぷり味わいたい」という読者には、500ページ超...