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【泉鏡花】「龍潭譚」(りゅうたんだん)〜謎の羽虫が飛び交う野道

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「龍潭譚」(りゅうたんだん)は明治29年発表の短編小説;かの澁澤龍彦も三島由紀夫との対談で、鏡花を初めて読んだのがこれだったと語っている。

●参考記事→澁澤龍彦【三島由紀夫おぼえがき】中公文庫版〜レビュー

あらすじ

澁澤龍彦も簡単にあらすじを端折っているように、物語のストーリーは幻想的でめずらしくわかりやすい。とある子供がツツジが一面に咲く野道を一人歩きしているうちに、太陽に不思議に輝く羽虫の舞う空間に来る。

虫は”ハンミョウ”という毒虫であったが、それと知らない子供は一生懸命捕まえようと追いかけるが叶わない。夢中になっているうちに自分がどこにいるのかもわからなくなる。

姉が止めていた一人歩きを無視して出かけてきてしまった。そういえば途中すれ違ったおじさんは「危ないぞ」と一言言っていた。”魔”に憑かれるから一人で野歩きは危ない、と姉は普段から言っていたのに、こんなどこともわからない場所に迷い込んでしまった。

かくれんぼ

どこからか「もういいよ、もういいよ」というかくれんぼの呼び声がする。見知らぬ子供たちが遊ぶ町に入るや彼らは一緒に遊ぼうと誘って来る。心細くて承諾すると自分が鬼の役目になった。

「もういいよ」見つけに行くが人の気配がない。さてはからかわれたか;もう暗くなった。とある山中に神社があり、恐ろしさに社の裏に身を潜めていると身内の者らが探しにきた。

しかし子供はこれは魔物が自分をおびき出そうとしている幻影だと考え、呼び声に返事もしない。愛しい姉の声も無視するが、彼女が去ってしまうや激しく後悔し追いかけるが途中で気を失う。

謎の美女

目がさめると謎の美女の家で布団に寝かせられていた。夜女に抱かれて眠るが、天変地異の轟音が家の上下に鳴り響いた。女は守り刀を抱いて子供を守った。

翌日白い鳥が化けた爺さんにおぶわれて故郷に送り届けられたが、再び目にする故郷の様子が全て他人のように見える。と突然、叔父が自分を叩きのめし引き連れて行った。子供の顔が魔に憑かれたために異形となっていたのだ。

悪魔祓い

子供は気狂い扱いとなり、行いも悪魔に憑かれたようでしきりに暴れた。ついに寺で悪魔祓い的儀式が執り行われることとなる。僧侶らの必死の祈りと守り神のおかげで、無事”魔”は追い払われる。姉が17才の時だった。

”魔”が住んでいた谷はその時の大雨で大きな池になった。その後子供は大人になり、再びその場所を打眺めるが、とてもそのような恐ろしい谷があったとは見えないのだった。

まとめ

淡々と進む時系列の前後がないストーリー展開だから、文章が難しくても比較的読みやすい方の幻想小説。日本の山の中に住む魔物たちの息遣いが聞こえて来るようだ。

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