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【マンディアルグ】短編集『みだらな扉』より「ネズミッ子」レビュー
2019/02/08
品田一良氏訳によれば『みだらな扉』だが、直訳では『放埓な扉』であるらしい。いやらしい想像をしてしまいがちな題名のこの短編集は、マンディアルグ作品の中でも後期に分類されるかもしれない。 (前期を難解な前 ...
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【マンディアルグ】「大理石」 Ⅳ. 証人のささやかな錬金夢〜註釈(2)
2018/11/26
第7の夢 第7の夢は少し長い。すなわち別れた恋人のカリタがラブホテルのような部屋に登場する。恋人同士のように寄り添って大きな鏡の前に立つと、二人の姿は誠に微笑ましく”絵葉書的”だった。しかし鏡の周囲に ...
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【マンディアルグ】「大理石」 Ⅳ. 証人のささやかな錬金夢〜註釈(1)
2018/11/26
マンディアルグの奇妙な長編小説『大理石』の第4部 ”証人のささやかな錬金夢” ( Petite oniroscopie du témoin) の註釈;しかし作者本人が述べているように主人公のフェレオル ...
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【マンディアルグ】「大理石」Ⅴ. 死の劇場 〜 粗筋と解読
2018/11/11
『大理石』は難解な小説であるが、第5部「死の劇場」は中でも一番難しい内容だと言える;今回はこの第5部を筆者なりに解読する試みとなるが、作者の”意図”は隠されておりただの”推測”で終わるかもしれない。 ...
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【マンディアルグ】「大理石」II. ヴォキャブラリー 荒筋と解説
2018/11/06
アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの『大理石』とはどんな本なのか;小説である。長編であるが中身はいくつかの短編が一続きになっているような体裁。その中から第2部「ヴォキャブラリー」を紹介する。 概要 ...
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【三島由紀夫】「金閣寺」〜完全な変質者による完全なる変質者の書
2018/10/26
巡り巡って三島由紀夫氏の「金閣寺」を再読した;そもそも私が初めてまともに三島作品を読んだのがこれであったから、1回目は何が何だかわからず、ただ文章に圧倒されただけであった。 その後氏について作品を読み ...
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【三島由紀夫】「獣の戯れ」レビュー〜凶器”黒いスパナ”にこもる太陽の燃える熱気
2018/10/24
しばらくぶりの三島由紀夫レビュー。この作品は以前読んでいたがレビューは書かなかった。同じようなものに「美徳のよろめき」「青の時代」「宴のあと」なども読んだけどレビューしてないのがある。 谷崎源氏などに ...
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谷崎潤一郎【卍】(まんじ)あらすじ・感想〜朦朧とした意識で見る愛しい女の残酷
2018/10/20
谷崎先生40代頃の傑作「卍」(まんじ)は、例によってひらがなを多用し句読点を省いた語り口の文体だが、女性の関西弁による告白の形をとっている。初めからずるずると引き込まれてしまい止められなくなるが、後半 ...
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谷崎潤一郎【蘆刈】(あしかり)〜十五夜の月見の晩に出会った男の語った源氏風の恋物語
2018/10/18
谷崎潤一郎氏のそこそこ短い小説「蘆刈」のあらすじと簡単な感想を述べる。 あらすじ そもそも洒落た題名の意味が現代人にはよくわからないであろう;話の中で主人公が蘆のたくさん生えた川の中の洲に佇んで月を眺 ...
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谷崎潤一郎訳【源氏物語】「夕顔」〜愛人を取り殺した魔物が出る話
2018/10/16
原文の魅力 ”原文”の持つ魅力というものに取り憑かれ、ここのところ日本文学にハマっている。谷崎潤一郎がその生涯3回目の現代語訳を試みた『源氏物語』は、谷崎氏の訳を原文で読むことができる;原文の原文、『 ...