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【クリストファー・ノーラン監督】「TENET」感想・ネタバレ

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ノーラン監督

クリストファー・ノーランは個人的に好きな方の監督である。バットマン・シリーズはもちろん、インセプション、メメント、インターステラー等、めぼしい作品は全部観ている。従って最新作の感想を書く資格くらいはあるだろうと思った。

まず、最新作テネットは、観るべきか観ないべきかと問うならば、観るべきである、と答える。というのは、ストーリーや理屈抜きで面白い映画だからである。映画は視覚と聴覚で味わうものである。この映画は視覚と聴覚に面白い刺激を与える。

理屈

ノーラン監督は物理学をかじっているようである。ちなみに史上最悪の物理映画はヒラリー・スワンクとアーロン・エッカートの「ザ・コア」らしい。言うまでもなく物理学というのは非常に崇高な学問であり、数学を除くならば最高に重要な学問だと思う。

なぜなら物理学はあるがままの世界を扱い、探求する学問だから。もし、テネットを見るのならば最低リチャード・ファインマン物理学の教科書全5巻を読んでから行ってもらいたい。でないとこの監督の無茶苦茶な理屈に翻弄されるだけだろう(私は順番に3、2、4巻を、そして今1巻を読んでいるところだ)。

物理学

時間・空間、過去・現在・未来を論ずるストーリ展開にグイグイ観客は引っ張られて行くだけで、ちょっと待ってくれとは言えないのであるから。まさに、テネットはこちらの思考回路が追いつこうが追いつかなかろうが御構いなしに進む、そんな映画なのである。

出だしからもう、これって何かの続編ですか?と言いたくなる。なんの詳しい説明もなくどんどん話が進んでいってしまう。しかし序盤のど迫力映像はダーク・ナイト・ライジングを超える恐ろしさ。しかもそんなようなハラハラドキドキさせる、まさに映画を観るとはこんなことだと言いたくなる刺激が一杯だ。

タイムトラベル

簡単に言えばよくあるタイムトラベルの映画なのであるが、かなりセクシーに、過激に、ユニークに、そしてシリアスに出来ている。言ってることやってることはいわばバック・トゥ・ザ・フューチャーと同じなんだけど、映像と理論がものすごくリアルなので観客は見事に騙される。

世の中の多くの人には学問も知識も思考力もない。ただ日常の労働で疲れ切った頭を映画でほぐしに来るだけなのだから。ましてや物理学者など観客中何人もいない。だから客は喜んで騙されればいい。ちょうど買いたくもないものを必要に迫られて買わされるお年寄りみたいに。

まとめ

劇場の通路の奥には延期されたジェームズ・ボンドの宣伝板が飾ってあった。11月20日に公開されるという。テネットのややこしいアクションの後は007でも観たくなる。だが生まれた時から車が走っている時代に育った私だが、11月20日まで生きているかどうかわからない。

生きているかもしれないし、死んでいるかもしれない。あるいはこの映画が回避しようとしているように、地球の生命が消し飛んでいるかもしれない。地磁気がなかったなら地球は火星と同じようになることをご存知だろうか。万有引力と相対性理論は目下勉強中である。

そして映画の2時間ちょっと、私の神経は電気信号で揺り動かされ、劇場内の電磁波の中にいただけなのだから。

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