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【アリストテレス】哲学:ばっさり解説〜天動説と宇宙論

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アリストテレス(前4世紀)は古代ギリシャの哲人、プラトンの弟子。

◯プラトンはこちら→哲学者【プラトン】対話編〜レビュー・解説まとめ

全集について

全集を「自然学」から順番に読んでいくと、次々に内容がリンクしているのがわかる。すなわち「自然学」では運動とその始原について、そして「天体論」「生成消滅論」「気象論」と宇宙の全体図が現れる。

「宇宙論」は短いがこれまで論じられてきた内容を端折っているかのよう。そして「霊魂論」と続き、この地球すなわち大地に生息する生き物たちを「動物誌」「動物部分論」「動物進行論」で論じる。

総じてプラトンのように読みやすくはない。分析論に終始しておりマニアックな感がある。しかしアリストテレスの本は古代の哲学、つまり天動説に重大な影響を及ぼしている。

コペルニクスの地動説

理性を備えた古代人は、15世紀にコペルニクスが別の説を唱えるまで天動説を信じていた。他方理性なき人々は草を食って藁の家を建て、名を残すことなくただ生き死んでいった。古代ギリシャ人は造物主の存在を認識し、被造物である宇宙に思いを馳せてこれらを研究した。

車や電車に乗って走っている時、運転席や客席から見れば外の景色が動いているが、実際動いているのは車や電車である。同じように地球から見れば動いているのは天であるが、本当のところ動いているのは地球の方である。

天界の構造

天動説は視点を変更すれば正しいとも言える。私たちは地球という乗り物に乗せられて大気と一緒に回転しているから、実際大地が動いているのは感じられない。それによると第1の天界は月であり、以後順不同に水星、金星、太陽、火星、木星、土星へと続く。

ダンテの「神曲」だと月の次は水星だが、グノーシスなどの古代宇宙論だと金星だったりする。そして現代科学が解明したところでは、太陽から順番に水星、金星、地球、火星、木星、土星という公転軌道になっている。

土星を越えると星座のある恒星天に達するが、このメカニズムは頭で考えてもなかなか飲み込めない。古代人のように毎晩何時間も何年も星空を観察して、初めて天動説の構造は理解できるのだろう。

◯参考→ダンテ【神曲】「天国篇」〜まとめのまとめ〜

テクノロジーなしの認識

天体観測初心者でも月が一番低い位置にあるのは目視でわかるし、太陽と見えない水星は一緒に動いているから互いに近いだろうとは予測できる。また金星も木星や土星、火星よりどちらかといえば低い方にある。遠い・近いは視覚の遠近法だが、人の目には対象の遠近を判別する能力が備わっている。

木星がかなり上の方にあること、土星は最も遠い星であろうこと。そしてこれらを超えたさらなる上方に、星座群がひしめいておりこれが古代人が恒星天と呼んだものであること。下の7つの惑星とは明らかに現れ方が違っており、運行の仕方も違うからだ。

科学はテクノロジーだが、相対性理論がわからなくても人の肉眼でここまでの認識に達することができる。原子爆弾の作り方やスペース・シャトルの飛ばし方を知りたいとは思わない。”あるがままの宇宙”を肌で感ずることが古代的方法である。

月下界の生成消滅

アリストテレスの本の天動説によれば地球は不動で、これをそれぞれ天界の円が階層的に取り巻いている。そして円は中心より外側つまり上に向かうほどに大きくなっていく。地球のある方が下、天界のある方が上である。

月下界は生成消滅するけれども、天界はエーテルなる物質が場所を満たし変滅を免れている。月下界の4つのエレメントは固有の本性に従って動くから、土と水は下へ、空気と火は上へと向かい気象を発生させる。

動かす力と場所

動くものは何かによって、何かの中で動かされる。上から順に降ってくる力は上へ行くほどに強大である。より大きいからである。して見ると地上で色々やっている私という生き物は何なのであろうか。全て月下界は運命によって支配され、何一つ自分では行えないような気がする。

自分で決定し動いていると思われる行為、例えば国民年金の支払いなどは、恒星天から力が降ってこない限りできないのではないか。宇宙の巨大な回転に包み込まれながら、小さな地球の表面の動物にすぎない人間に何ができるというのだろうか。

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