業務の種類
「新聞屋」の求人にもいろいろの募集形体がある。アルバイトだと新聞配達のみ、チラシ入れ、集金のみ、広告のポスティング、営業のみなど。正社員は”専業”などと呼ばれ、住み込みで完全拘束され全ての業務をこなす。
基本的に所長や店長からやれと言われればなんでもやる;専業の1日は夜中に起きて朝刊の配達をし、電話当番やチラシ入れ、数時間寝てから夕刊配達、夕方から夜は集金や”拡張”と呼ばれる営業をする。古紙回収も月に1回ある。
エリア管理
店に戻ってきてからは自分の担当エリアの”入りと止め”の部数管理、集金の計算などをし、”団”と呼ばれるプロの営業集団が入店する前などはその受け入れの準備までやる。
帰宅後少しばかり(2〜3時間)寝てすぐまた朝刊である。まじめに勤めて店から信頼されてくると、新聞配達から外され1区域(エリア)のみならず2区域管理を任される。
2区域3区域管理になると夜寝れるが昼はずっと仕事である。また新聞を毎日配るアルバイトなどの”常配”から区別され、彼らが休みの日に代わりに配る”代配”になる。
”代配”は常配が毎日同じ区域を配れば良いのに対して、日や曜日によって配達する区域が異なるので、どちらかと言えば大変である。
新聞配達の仕事
そのわけはこうだ;人間は習慣の力で動く。よって毎日ワンパターンの動きをするのは容易なのである。
入社したばかりで最初1週間は配達で苦労しても、すぐ身体は機械のように順応する。ましてや数ヶ月、数年同じ街角・区域を配っていたらどうなるか。もはや一筋のミスも犯さない配達マシーンと化す。
しかし場所ごとに違う区域を配ると、その度に頭と身体を切り替えなくてはならない。よって慎重にやらないと配達ミス(不着)や遅れ(遅配)などに繋がりかねない。
バイトであれ社員であれ、新聞屋とは「新聞を売る」業種であるから、不着・誤配・遅配は区域部数の止めに繋がる。不着や遅配が続くと集金が取れない・契約を続けてもらえない・集金人や営業が怒られるいう事態が起きる。
なぜなら配達が遅いと仕事に行く前に読めないわけで、新聞を取っている意味がないからだ。
良い点・悪い点
こうして書くとものすごく大変な仕事で、絶対にやりたくないと読者は思われるだろう。だが意外と新聞屋というものは楽なのだ。全ての営業職や外回り業務がそうなように、一旦指令を受けて店から出てしまえば自由である。はっきり語るのは控えるがそこで何をしようが構わない。
また底辺と言われるだけあって、新聞屋の人間はちょっと社会から外れたアウトローみたいな人が多い。とてつもなくルーズで一般社会常識から考えられないような人がいる。そのような中で”まともな人”でいるのは簡単である。
休みがほとんどなく睡眠不足になりがちだが、生きる悩みが無くなる。常に配達という時間の流れに追われているためだ。配っているときは外の風を顔に受けながら気持ちの良い汗をかく。有酸素運動後に仲間と食べる飯はとてもうまい。
新聞屋の生活には悩んでいるヒマなんかない。そういう理由で筆者にとって「新聞屋」は聖なる職業だった。無駄遣いする暇がないからお金もたまる。散々風俗へ行っても5年で500万くらいたまった。
所長の言葉
ページが限られているのでこの辺りにしよう。他にも新聞屋には利点がけっこうあるのだが書ききれない。やろうと決めたらまず落とされない。電話1本で引っ越し代・布団代・入社祝い金少しもらえてすぐ衣食住があてがわれる。
よほどゴミでない限り(集金を使い込む・嘘の契約書を作るなど)クビにはならない。であるから人生のどん底まで落ちたとき、自殺する前に「新聞屋」なる仕事があるということを、どうか思い出して欲しい。
世話になった所長が言ってくれた言葉;「過去と他人は変えられない。未来と自分は変えられる」のである。
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