2025-05

【知覚の扉】オルダス・ハクスリーの幻視体験と「ありのままの宇宙」への扉

【知覚の扉】オルダス・ハクスリーが見た“ありのままの宇宙”とは何か「ドアーズ」のバンド名の由来でもあるオルダス・ハクスリーの『知覚の扉』。本書は単なる薬物体験の記録ではない。むしろ哲学・芸術・神秘思想を横断する〈意識の冒険〉であり、20世紀...
哲学

悪魔論|空気のようなスピリットとしての実在と本性を考察する

【悪魔論】悪魔の存在・本質・起源に関する一考察一、空気としての悪魔悪魔なる存在については古来より論ぜられ、諸説錯綜して今日に至る。最も普遍的なる見解は、悪魔は空気の如きもの、すなわち可視ならざるスピリットとするものである。質量を有せず、形を...
小説

 【エドガー・アラン・ポー短編傑作選】ランキング形式で読む名作レビュー

【エドガー・アラン・ポー】短編傑作選|個人的ランキングと部門別紹介はじめにエドガー・アラン・ポー──その名に筆者が初めて触れたのは二十歳の頃である。以来、幾度も再読を重ね、当ブログでも数多くの記事を記してきた。今回はその敬意を込めて、ポー短...
哲学

 【正法眼蔵を読む】道元禅師の宗門思想と翻訳文化の深層|文語体レビュー

【正法眼蔵を読む】曹洞宗高祖道元禅師の遺言たる宗門の至宝一、緒言『正法眼蔵』なる書名は、仏教に親しまぬ者とて一度は耳にしたるものなり。されど、その実に手を取る者は稀なり。何故ならば、岩波文庫版にして全四巻、各々四百五十頁を超え、古語と漢語と...
評論

 【仏の血を流す】五逆罪としての日本仏教批判|禅と念仏をめぐる随筆

【仏の血を流す】五逆罪より見たる日本仏教の罪科仏教伝来と四恩の道此の稿は、学究的厳密を期すものにあらず。むしろ、己が胸中の思ふところを綴り、「仏の血を流す」といふ大逆の詞を借りて、日本仏教の在り様を問ひ直さんとする、いはば随筆風の試みなり。...

【竹取物語】岩波文庫版レビュー|かぐや姫と平安文学の美を読み解く

はじめに「かぐや姫」の物語──日本人であれば、誰しもが幼い頃に一度は耳にしたことのある昔話だろう。それが『竹取物語』である。この物語の印象は、文字を覚える以前、言葉として私たちの耳に届いた最も古い記憶の一つかもしれない。『竹取物語』は平安時...
哲学

『荘子』岩波文庫版から読み解く道思想の本質と無為の哲学

『荘子』を読み解く:無為と「道」への誘い中国戦国時代末期に成立した『荘子』は、老子の『道徳経』と並ぶ道家思想の中核をなす古典であるen.wikipedia.org。近年では、老子・荘子の老荘思想に魅かれる人々や、禅仏教の哲学的背景を探る人々...
哲学

『抱朴子』と道教思想の核心|仙人・仙薬・不老不死の理想を探る

『抱朴子』の概要と道教思想中国古代哲学では、天地万物の根源としての「道」の考え方が老子・荘子に代表される道家思想として古くから語られてきたja.wikipedia.orgy-history.net。晋代の道教学者・葛洪(283~343年)が...

 『碧巌録』を読む|禅語録とシュルレアリスム的思考の交差点に立つ

『碧巌録』全三巻読了後の学術的考察序論:『碧巌録』との出会いと読書動機岩波文庫版の『碧巌録』全三巻を半年ほどかけて読了した。『碧巌録』は宋代の禅僧・雪窦重顕(雲門宗4世)が古来の百則の公案を集め、『雪窦百則頌古』を編んだのち、圜悟克勤(臨済...
小説

谷崎潤一郎訳『源氏物語』「夕顔」巻を読む|幽玄と怪異が交錯する古典の美学

幽玄なる『夕顔』巻:谷崎潤一郎訳による美意識の継承序論平安文学の頂点たる『源氏物語』は、その幻想的な語り口と幽玄な美が今も人々を惹きつけてやまない。特に第四帖「夕顔」は、主人公光源氏と〈夕顔〉との儚い恋物語が夜の闇の中で悲劇的に結実する、い...