背景と時系列
スターウォーズ・ストーリー「ローグ・ワン」はスターウォーズ第1作目のエピソード4の直前までをリアルに描いている。物語の時系列がエピソード4と被っているため、帝国の支配下の暗い世界のどこかで、ダースベイダーの息子であるルーク・スカイウォーカーや荒野に身を潜めるオビ・ワン・ケノービの息遣いが聞こえてきそうである。自由と希望の救世主たるジェダイがいない世界にただ一人君臨する裏切り者のダース・ベイダーは、フォースと呼ばれる超能力を操り暴虐の限りを尽くしている。このスペース・オペラにおいて一般人やしがない宇宙人とかっこいいジェダイとを区別するのは、一般人が戦闘時にブラスターという電子ビームを発射する銃のような武器を使用するのに対して、ジェダイはライト・セーバーという剣を使う点だ。ライト・セーバーはボタンがあるらしく日本刀でいう刃に当たる部分が鞘に出し入れ可能である。ローグ・ワンの舞台でライト・セーバー使いはダース・ベイダーのみである。
反乱軍のかすかな希望
ジェダイ亡き後頼りない反乱軍の中にも希望を信じる一味があった、それがローグ・ワンである。なかでも一番鳥肌立つキャラクターが盲目のカンフー使いの戦士だ。帝国の支配下にあっても過ぎ去りし日のフォースの力を信じている。スーパーマン同士のようにジェダイとシスが闘うエピソード1〜3に比べれば何という心細さ、人間臭さであろう。ローグ・ワンとて最終兵器のデススターの設計図を盗み出すのは、仲間の全滅と引き換えだった。「希望」を後につなぐーそれだけでミッションは成功であり、彼らは幸福に最期を迎えたのだ。その命がけで繋いだ希望がルーク・スカイウォーカーとオビ・ワン・ケノービのフォースに導かれて、デススターを破壊するのだと思うと、鼻血が出そうなくらい興奮してくる。
「ローグ・ワン」の意味
ちなみに「ローグ・ワン」はパイロットが適当につけた戦闘機のコールサインとなっているが、エピソード5「帝国の逆襲」で雪山に遭難したルーク・スカイウォーカーを捜索し発見する戦闘機が、ローグ・トゥーというコールサインを出している。映画のタイトルは監督の旧三部作に対するリスペクトだと私は思っている。
前後のエピソードとの濃い関係
アナキンがダークサイドに堕ちてダースベイダーになったエピソード3を観た後、無性にエピソード4を観たくなったものだ。それはもうすぐにでも観たくなった。同じようにローグ・ワンを観た後はエピソード4と3を観たくなるだろう。エピソード3はジョージルーカス監督だけれども、ストーリー展開があまりに早すぎる気がする。アナキンがダースベイダーになる過程は最低でも6時間ないと映画として足りないと思うからだ。一部に熱狂的なファンを持つエピソード4はスターウォーズ・シリーズでも内容が濃い名作であり、エピソード3から4へと至る過程は非常にドラマチック限りない。本作「ローグ・ワン」がその隙間から生まれた傑作だとしても何ら不思議はない。
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