作品概要
「ノクターナル・アニマルズ」は予告編などで見るとややエロティックなサスペンスかと思わせるが、内容はかなりワイルドかつ非常に救いようのない終わり方をする映画。似たようなのだと”ファニー・ゲーム”なんていうのがある。
あらすじとしては別れた元妻に元夫から彼女に捧げられた小説が送られてくる;小説の再現が本編の大部分を占めるが、これが非常に残酷な話なのだ。しかも本を読みながら元妻は再び元夫に会いたくなり連絡を試みるけれども、最後に待ち合わせしたレストランにも夫は結局現れなかった。
元夫で小説の話の主人公役でもあるジェイク・ギレンホールは、この映画でもハマリ役の緊迫感溢れるシリアスな男性を演じる。ジェイク・ギレンホールは元妻の回想と架空の小説にしか登場せず、リアルタイムでは一切出て来ない。
あらすじ
この映画の冒頭はファッション・ブランドを展開する超セレブのデザイナー、トム・フォード監督による最も醜悪なシーンである。大体3分間以上もあるように感じさせられるオープニング・ムービーは、身体の肉がデロンデロンにたるんだ太った熟女、婆さんたちが裸で踊る場面。
頼むからじっとしていてくれ、と願わずにおれないほど醜悪な肉体が、激しいダンスに揺すぶられて風に煽られる旗のように振動する。とても直視に耐えないばかりかすごく長い。これほど観るのに抵抗のある映像はあるまいと思われた。
これならまだ食人族に貪り食われる映画の人間の内臓を見せつけられる方がまだまし。このオープニングによって、監督は「今から目を背けたくなるものを観せるから覚悟しろよ」あるいは「観ない方がいいよ。やめときな」と忠告している。
実際その予感は当たる;映画ラストで小説の主人公が妻と娘をレイプして殺した犯人を処刑し、自らも銃が暴発して死ぬ箇所を回想しながら、元妻は一人で待ち合わせの店で時間を潰す。周りの楽しそうな雰囲気とは隔絶された彼女は虚しく杯を重ねる。元夫は来ず映画は終わるが、エンドロールの速度がまた神経を逆撫でするようなゆっくりさなのだ。
まとめ・感想
小説の内容はこうだ;ハイウェイで酔っ払いのようなならず者集団の乗った車に絡まれ、夫は拉致されて置き去りにされ、妻と娘は犯されて遺体で発見される。ごく平凡で無力な亭主が癌で先が短い保安官と法を超えた裁きを決行するという、よくある復讐劇だ。
有名なデザイナーのトム・フォード監督がなぜあえてこのような非ファッショナブルかつ、ワイルドな映画を世に出したのかはわからないが、映画祭での評価はとても高い。”後味の悪い映画”ベストテンに新たに加わるであろう、観て後悔する映画だ。
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