ダンテ【神曲】まとめ(11)〜「地獄篇」第28歌・第29歌・第30歌

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次回で「地獄篇」レビューは終了予定。「神曲」は全部で100歌、「天国篇」が33歌・「煉獄篇」が33歌・「地獄篇」は34歌である。

各回3歌ずつまとめてきたが最初の記事を「地獄篇」の「序」にしてしまった。「地獄篇」序に当たるのは第1歌である。なので次回は少し長目になるだろう。 😮 

◯「神曲」まとめ記事第1回はこちら→ダンテ【神曲】まとめ(1)〜「神曲」全体及び「地獄篇」の序

第28歌〜マホメット

地獄の第八の谷にある9つめの”マレボルジェ(悪の濠)”には、世にも恐ろしい罰を受けている連中がいた。すなわち生前中傷をもって分裂争いを引き起こした者がその報いを受けている。

鬼どもの剣によって切り裂かれ血みどろのまま濠を歩くのだが、一周すると傷が粘着してしまうので何回も際限なく切り刻まれる。その中にはイスラム教の預言者マホメットがいた。側には家の後継者となった娘婿で従兄弟のアリーがいる。

中世ヨーロッパにおいてはイスラム教は異端扱いに近かった。マホメットは下顎の部分から肛門まで真っ二つに裂かれている。内臓がぶら下がったまま怒号をあげてダンテらを罵る。ちなみに娘婿の方は顔が真っ二つである。

さらに進むとベルトラン・ド・ボルンが首を切断され、自分の首を提灯のように捧げ持って歩いている。イギリス国王ヘンリー2世と皇子を反目させた男である。

第29歌〜錬金術師

悪の濠最後の第10番目には贋金作りや錬金術師などの詐欺師集団がいた。かれらは救いようのない病気に冒されて、いわゆる医者のいない伝染病隔離病棟に身悶えしていた。

互いに折り重なって苦悶する輩には錬金術師グリッフォリーノがいた。彼の最後は火あぶりだったが、貴族アルベロ・ダ・シエナに向かいダイダロスのように「空を飛べる」と豪語したができなかったため。

クレタ島に幽閉された工匠ダイダロスと息子イカーロスが、蝋の翼をこしらえて空を飛び脱出した神話は有名である。最も息子は太陽に近づきすぎて海に落ちたのだが。

第30歌〜王女ミュラー

ここには他にも贋金作りのカポッキオもいた。他人の遺言状を偽装したジャンニ・スキッキが彼に齧り付き、引きずっていく。

ジャンニ・スキッキという男は死体と入れ替わってベッドで瀕死のふりをし、公証人に都合の良い遺言を述べたのである!

さらに12歳の時に実の父親と近親相姦したフェニキアの王女ミュラーがいた。彼女は父に恋し他所の娘のふりをして声をかけ交わった。やがて妊娠し家から逃げ出すが、絶望してミルラ(没薬)を分泌する樹木に変容した。この樹より美少年アドーニスが生まれたという。

ミルラはお香や鎮静薬として知られ、エジプトではミイラの身体を守るために調合されたりもしていた植物性樹脂。

まとめ

第30歌最後にダンテは亡者どもの争いに見とれていて師匠に怒られる。詩人は深い反省をしながら第九の圏へと下っていく。そこは4つの同心円に分かたれた地獄の最後の谷だった。

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