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【ATALANTA FUGIENS】「逃げるアタランテ」EMBLEMA VII.〜若い鷹は巣から飛ぼうとし、再び巣中に落ちる

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"Fit pullus a nido volans, qui iterum cadit in nidum."

この絵は高い山の頂きに作られた巣の中に2匹の鷹の子が書かれている。1匹は翼が育ち巣から飛び立とうとするのだが、もう1匹がまだ発達が遅いために彼にしがみつくので、彼に足を引っ張られて巣から出られない。

従って1匹が飛び立とうと浮き上がってももう1匹がその足を引っ張る重みで、飛び立とうとした鷹はまた巣の中へ落ちるという算段。

寓意

例のごとくこの寓意はどうにでも取れる。鷹はゼウスの鳥だし聖なる象徴でもあるから、精神の王冠を意味する理性を表すのかもしれない。鷹は高いところに住む、群れない、翼をバタバタせわしなく動かして飛ばない、高いところをゆったりと風に乗って飛ぶ。

頭を天に向かってキっと上げた様はしばしば天才に喩えられてきた。天才は群衆を超越し遠ざかり、誇り高く彼らとは群れ交わらないからだ。ブレイクの『地獄の箴言』の引用だが「君がもし鷹を見ている時、君は天才の一部分を見ているのだ」。

解釈

2匹の鷹の子の一方は翼が十分に発達しているのに、もう一方がまだ飛べず足を引っ張るという図は、高く飛び上がろうとする精神を肉体の軛が下方へと締め付けるのを思わせる。精神は非物質的で天にも登ることができても、肉体は様々な感覚や生理的な欲求が地上に固く結びついている。

そのため肉体が精神を引っ張ると精神は高く飛翔できず、下へ向かって落っこちる;こんなところが私ができる解釈のMAXだろう(笑)。

まとめ

じゃあ何でどっちも鷹で表されてるの?という疑問が生ずる。もしいま精神の翼を圧迫している肉体の鷹が、発達して力強くなれば精神と共に天へ向かって飛ぶのだろうか。いや肉体は肉体だから地上から離れることはできない。

順を追って考えてみよう;もし2匹が2匹とも育ってどちらも飛べるようになるならば、先に飛べるようになった精神を表す鷹は、もはやもう1匹に邪魔されずに自由に空を飛べる。好きなところへ食べ物を探しに行き好きな時に巣へ戻って休んだりまた出て行ったり。

さて飛べるようになった肉体の鷹は、同じく精神の鷹同様に空を飛ぶし、同じように生活する。つまり肉体が精神性を帯びて、重力の重みに打ち克つ。それは空の鳥と同じ性質を有して、空気の中に住まう。肉体はスピリットと同化し、固体を脱して海中の魚にようになったのである。以上、ムチャクチャな説明を終わる。

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