『ハギア・ソフィア学術調査団研究成果報告会報告集2001年3月20日(火)建築会館ホール』"Hagia Sophia Surveying Project Conference March 20,2001 at Main Hall of the Architectural Institute of japan Tokyo Proceedings of the Conference"を紹介する。参考リンク⬇️
筑波大学
こちらは実際に開催された会議の資料らしく値段は付いていない。しかし古書店やオークションなどで3000円〜5000円で取引されている。筆者が購入したのもそうだった。前からビジュアルが気になっていたハギア・ソフィアについて、実際にどのような建築になっているか興味があったからだ。
”ハギア・ソフィア学術調査団”のページはこちら🔽だが、しばらく更新されていないようである。
ハギア・ソフィア学術調査団 Hagia Sophia Surveying Project
イスタンブール
日本の教授がリーダー的となって1990年あたりからこの6世紀の文字通り”偉大な”建築の調査を行なっている。またリーダー日高氏は建築巡礼シリーズ『イスタンブール』という本を出していて、こちらは一般の方向けの軽い読み物である。
どちらも一応筆者は目を通した。それで大分好奇心の方はあらかた満足したわけである。『ハギア・ソフィア学術調査団研究成果報告会報告集』の方は構造的な分析や仕上げ材料の調査報告、および地震の歴史と修復・補強方法などだいぶ専門的な内容。
しかしどうしても建築団体という性質上の特徴から抜け出ることができず、ずらずら並べる報告そして学者っぽい分析、お決まりの”まとめ”という流れから脱することができていない。前がこうだったから次もこうしようという、戦後日本人的な風土である。
イスラム教
2020年に入りついにトルコ政府はハギア・ソフィアを再びモスクにし、先日最初の金曜礼拝というものが行われた。筆者もYouTubeで観たが一応の間隔はとってマスクはしているとはいえ、これでCOVID-19の集団感染が回避できるとは、とても思われないだろう。
印象的だったのは歌うようなコーランであり、マイクとスピーカーによって多勢の信者たちに広く聞こえるようにしていたことだ。あの曲はAppleMusicでも落とせるので筆者もライブラリに常備している。以下参考リンク⏬
THE WORLD ROOTS MUSIC LIBRARY: トルコ/コーラン朗誦とスーフィーの音楽
まとめ
報告書はおよそ10分の7が日本語で10分の3が英語の論文。粗末なイラストが多く巻頭だけ少しばかりカラー写真が載っている。だがこの本は会議に間に合わせるために全編取り急いで編集されたとのこと、より充実した豪華版が出ているようだがより高価だ。
”偉大な”と私たちは何も知らず観ただけの感情で言ってしまうがこれは簡単。ハギア・ソフィアの何がどう偉大なのか、コンスタンティノープルからはるばるエジプトまで石材を派遣し取り寄せたことか。15階建てマンションがすっぽり収まるほどの天井高さか。
数々の地震に10数世紀耐えてきたことか。その混和した文化の不可思議さか。実際に見上げないと分からないらしい圧倒的なドームを支える大胆なアーチか。この本を読むことで一般読者も少しは写真でしか観たことがないビザンティン建築の傑作を、リアルな構造物そして建築材料として、ヴォリュームある現物として把握できることだろう。
そしてYouTubeで礼拝の動画を観ながら、”聖なる知恵”であるロゴスなるキリストが、セラフィム天使を使わして恐るべき終末の徴を現さないことを心配するだろう。すなわち集団感染か地震などによる大規模崩落事故である。何となれば石材とて磁気を帯び、人体電気製品携帯電話etc共々、電磁気力によって静止しているに過ぎないのだからである。