【戦後80年の幻】崩れた平和、燃える脂肪──焼肉の時代の終わりに
時間という立方体
まず、あなたの頭の中に「立方体」を思い浮かべてほしい。これはあなた自身の「時間」である。このキューブは他の誰にも見えず、ただあなたの内側にだけ存在する。
だがある日、ある年、ある瞬間に、人は死ぬ。その瞬間、想像で組み上げてきた時間の立方体は、夢の中の建物のように崩れ去る。未完成のまま、何事もなかったかのように消える。
「今」を生きる者だけが時間に存在していると思うなら、それは浅い。死者たちもまた、この時間の中に存在している。彼らの生は記憶と記録と影となって、今この瞬間にも共にある。
夢の終わりと目覚め
80年間──私たちは一つの長い夢を見続けてきた。戦後の復興、「平和と成長」の幻想。児童憲章に育てられた子供たちは、白髪の老人となった。そして、気づかぬうちに屠殺者たちが現れはじめる。夜明け前の白みに乗じて。
これは夢ではない。むしろ、夢だったのはこれまでの80年の方だった。だが人は目覚めを嫌い、何とかして眠りの中に戻ろうとする。だが今回は違う──時間切れだったのだ。
夢が終わる。昼は短くなり、夜が長くなる。目覚めと起床が、人間の足を引っ張る。そして言う、「80年の夢は終わった」と。
焼肉と進歩のからくり
私たちは「進歩」という名の幻想に取り憑かれてきた。原子を操作し、化学物質を調合し、人工の製品で空間を埋め尽くすゲーム。それが幸福への道だと信じてきた。
だが、元素の数は宇宙で決まっている。どこかから掘り起こせば、どこかが欠ける。自然はそうして破壊されてきた。そして進歩の正体が「金儲け」だと知る頃には、私たちの世界は人工物で溢れていた。特に建築物と車──それが「先進国」の証だった。
人間の体もまた、「進歩」によって変わった。食べ、飲み、太り、脂肪に覆われた。まるで焼肉のように燃えやすくなったのだ。アズモダイオス──飽食の悪魔のように。
預言という現実
世界人口は80億を超える。もし今の現象がヨハネ黙示録の「蠍と蝗」の章に該当するなら、次に来るのはユーフラテス川の四人の天使の解放──そして人類の3分の1の死。
にわかには信じがたい。だがすでに、夢のような現実を私たちは経験している。パンデミック、戦争、崩壊。もう一度、夢の中に戻れるだろうか?
私たちがまだ平静でいられるのは、ヒーロー映画やSF映画の影響だ。あれらの作品では必ず誰かが世界を救う。だから我々もまた、誰かがきっと救ってくれると信じてしまう。
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