ダンテとベアトリーチェは天国界第4の太陽天へと登る。
第10歌〜トマス・アクイナス
ダンテとベアトリーチェは創世記によると造物主が天と地の時の印となるように造った、大きな光るものすなわち太陽へと着いた。二人は太陽の中へ入った。
そこにいる人々もまた光からなる身体だった。かれらは合唱隊のように歌いながら、冠の形をした光の輪となって二人の周りを回転した。
太陽にいる賢者らの中には、カトリック教会の聖人で「神学大全」を著したトマス・アクイナスがいた。さらにトマスの霊は輪を形作っている12人の魂たちを紹介する。
全員の紹介が終わると太陽天に中世の教会の時計の音に似た、調和のとれた響きが鳴り渡った。
第11歌〜聖フランチェスコ
トマス・アクイナスはダンテに向かって清貧の美徳を唱えたアッシジの聖人、フランチェスコの話を語って聞かせる。フランチェスコは伝説では元々は金持ちの家の出であったが、ローマへ巡礼へ行ったとき乞食に所持金をあげて衣服を取り替えたという。
フランチェスコを描いた映画では1989年ミッキー・ローク主演の「フランチェスコ」がある。この映画を筆者は歌舞伎町でリアルタイムで観た。セクシー俳優・プレイボーイとしてミッキー・ローク全盛の時代で、聖人の愛と苦悩を描いてムチャかっこよかったのを記憶する。(👇はアマゾン商品リンク)
ミッキー・ローク(余談)
元々ミッキー・ロークはセクシー系の色男だった。今ではバケモノ・モンスター役が多いが。「ナイン・ハーフ」から始まり「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」でのジョン・ローンとの色男同士の対決、「エンゼル・ハート」でのデカダンス的妖しい探偵役と勢い止まることがなかった。
ミッキーは挫折と復活を繰り返す男である。若い頃はボクサー志望で夢潰れて挫折、俳優で人気絶頂に達するも90年代初頭で飽きられて挫折。ダレン・アロノフスキー監督「レスラー」でまた復活である。
第12歌〜ボナヴェントゥラ
最初の日輪が話終えるとその外側にはさらに第2の日輪があって、両者はそれぞれに呼応するように回転を始めた。こちらの日輪も12人の魂から成っており、その中にはボナヴェントゥラがいた。
ボナヴェントゥラは13世紀イタリアのカトリック教会の聖人、トマス・アクイナスと並ぶ同時代の神学者である。彼はフランチェスコ会の分裂にまつわる話などを語ってから、第2の日輪にいる人々を紹介した。
まとめ〜太陽
太陽は言うまでもなく私たちが生きている地球という惑星を照らす恒星である。惑星は光を発しない天体であるのに対し、恒星である太陽は自ずから光り輝く。
また地球は太陽の周りを自転しながら公転し、太陽から生命力を得るという非常に重要な星。そんな太陽に最も徳の優れた人々を詩人ダンテが配置したのも理由のないことではないだろう。