【ハン・ソロ感想】若きならず者の冒険と“銀河最速の船”の始まり
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は、後のヒーロー「ハン・ソロ」がどうやってチューバッカと出会い、ミレニアム・ファルコンを手に入れたのか、そのすべてを描くスピンオフ作品。
帝国にも反乱軍にも属さない“自由なアウトロー”。本作は、そんなハン・ソロというキャラクターが誕生する物語だ。
あらすじ:スラム街から銀河へ
物語は惑星コレリア、帝国支配下のスラムから始まる。ハンは恋人キーラとともに脱出を試みるが、彼女だけが捕らえられ離れ離れに。再会を誓ったハンは帝国軍に志願し、パイロットを目指す。
しかし、待っていたのは地上戦闘の泥まみれな日々。そこで出会ったのが盗賊トバイアス・ベケットの一味、そして“怪物”として檻に囚われていたウーキー族のチューバッカだった。
ハンとチューバッカ、伝説の出会い
牢獄での死闘を通じて、ハンはチューイと協力関係を築く。2人は脱出し、ベケットの一味に加わる。
ここからが、スターウォーズらしい冒険の始まり。列車強盗、犯罪組織との駆け引き、精製前の希少エネルギー資源の奪取…そして、ミレニアム・ファルコンを手に入れるための賭けに挑む。
ランド・カルリジアンとミレニアム・ファルコン
伝説の船・ファルコン号の持ち主ランドと出会い、ハンはカード勝負を仕掛けるがイカサマで敗北。しかしのちにリベンジを果たし、ファルコン号を自分のものにする。
副操縦士のL3というドロイドの“魂”は船のシステムに組み込まれ、ファルコンの独自性がここに完成する。
元恋人キーラの裏切りとダース・モールの影
ハンの元カノ・キーラとの再会は、甘くもあり苦くもある。彼女は犯罪組織“クリムゾン・ドーン”に深く関わっていた。
終盤、ドライデンを倒したキーラは黒幕と連絡を取る。そこに現れるのが、かつて死んだはずのダース・モール…。このシーンで、本作がエピソード1〜6の裏側に繋がることが示される。
ならず者たちの“もうひとつの自由”
本作がユニークなのは、帝国でも反乱軍でもなく、自由を愛するアウトローたちの物語だということ。
ハンは、正義のヒーローでもなければ悪人でもない。ただ“自分の意志で選ぶこと”にこだわる。その姿こそが、後のルークたちを支えるキャラクターとしての魅力につながる。
キャストと監督、70年代テイスト
若きハンを演じるオールデン・エアエンライクは、笑顔と軽妙なハッタリの効いた演技で新しいソロ像を確立。ランド役にはドナルド・グローヴァー、キーラには『ゲーム・オブ・スローンズ』のエミリア・クラーク。
監督はロン・ハワード。カーアクションの名手として知られ、『ラッシュ/プライドと友情』のようなスピード感ある演出で、本作にも70年代風の躍動を持ち込んでいる。
総評:これは500万点のスペース・ウエスタン
帝国軍 vs 反乱軍の構図から離れた本作は、スターウォーズの中でも異色。でもだからこそ、個人の選択と自由の価値がくっきりと浮かび上がる。
チューバッカとの絆、ファルコン号との出会い、ならず者たちの友情──これは、ヒーロー誕生の物語ではなく、“自分を選ぶ男”の物語なのだ。
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