評論

評論

舩坂弘『英霊の絶叫』レビュー|三島由紀夫と武士道の宗教性を描く戦争文学

舩坂弘『英霊の絶叫』レビュー|三島由紀夫と「武士道」の宗教性「武士道」という名の宗教日本人の「死生観」を宗教ではなく「武士道」に求めるのは、一見暴論のようでいて意外に的を射ている。葬儀では仏教に倣い、ハロウィンやクリスマスではキリスト教に倣...
評論

澁澤龍彦『快楽主義の哲学』レビュー|三島由紀夫・マンディアルグとの思想的交差点

澁澤龍彦『快楽主義の哲学』と奇妙な三角形澁澤龍彦(1928–1987)は、日本のフランス文学者にして評論家。晩年には小説も執筆した。世間の注目を集めた裁判沙汰の末、マルキ・ド・サドを翻訳・紹介した人物としても知られている。出会いと衝撃私が初...
天文学

エジプトの死者の書とは?アニのパピルスと太陽神ラー讃歌を学術的に解説

【『エジプトの死者の書』】 E.A.ウォリス・バッジ著『アニのパピルス』 〜 太陽神ラー讃歌に寄せて「エジプトの死者の書」E.A.ウォリス・バッジ (E.A. Wallis Budge) によって編纂された書物が『エジプトの死者の書』と呼ば...
評論

三島由紀夫『太陽と鉄』解説|筋肉と葉隠、死と美の哲学

三島由紀夫『太陽と鉄』レビュー|葉隠と筋肉の哲学、美と死の交差点死と美のあいだに『太陽と鉄』——三島由紀夫が自決のわずか3年前に著したこの評論は、まさに彼の“遺言”のような一冊です。そこには彼の死生観、美意識、肉体と精神、文と武の両道にかけ...
評論

【旧約聖書】呪いの言葉まとめ|詩篇・箴言・申命記の恐ろしい引用集

【旧約聖書】呪いの言葉まとめ(1)〜『詩篇』『箴言』『申命記』から選抜今回扱う「聖書」とは、いわゆるキリスト教における旧約聖書を指している。ウィリアム・ブレイクがその作品中で「地獄の聖書」や「深い穴」などと呼んだように、この書物には尋常でな...
評論

【ベートーベンの生涯】ロマン・ロラン〜学研音楽まんがシリーズ「ベートーベン」と比較

ロマン・ロラン『ベートーベンの生涯』と学研まんが『ベートーベン』の記憶をたどる子ども時代の感動:学研まんが『ベートーベン』昭和の子どもたちの定番だった「学研まんが」シリーズ。友達同士で貸し借りして読んだ記憶が、今でも鮮明に残っています。伝記...
哲学

ピュタゴラス派・プラトン派と聖書に見る「数」の神秘と秩序

【数】について 〜 ピュタゴラス派・プラトン派を気取った古代エジプト人のごとく序論古代において「数」という概念は、単なる計算の道具に留まらず、世界の本質を読み解く鍵として神聖視された。本稿の筆者はカバラ(ユダヤ神秘思想)には関心も知識も持ち...
哲学

阿頼耶識(あらやしき)とは何か?唯識思想の「心王」と仏教的深層意識の探求

【阿頼耶識】(あらやしき)〜人間の第八の識、「心王」とは■ 阿頼耶識とは何か?阿頼耶識(あらやしき)は、唯識思想における八番目の識――いわば人間の最深部にある「心の倉庫」である。中村元ほか編『岩波仏教辞典』によれば、これは法相宗が展開した教...
評論

『父母恩重経』とは何か?永平寺の読経音源と現代テキストの違いを読み解く

【仏説父母恩重難報経】『父母恩重経』覚書〜永平寺の読経音源と比較して見えてきたこと正倉院に収められている「聖語蔵」。この中に『父母恩重経』も収蔵されていました。通称と普及版について『仏説父母恩重難報経』は中国での正式名称ですが、日本では通称...
評論

 『悪行要論』とは何か?中世悪魔学の古典を現代から読む

フランチェスコ・マリア・グアッツォ『悪行要論』:中世悪魔学の古典と現代への問い1. 書籍の概要**図1: 1608年にミラノで刊行された初版『悪行要論(Compendium Maleficarum)』のタイトルページ。**グアッツォの『悪行...