講談社からキリスト教新約聖書の「ヨハネの黙示録」が学術書としてお手軽な文庫で出ている。この本はいわば”世界の終わり”の内容なのであるが、今回の記事の目的はこの使い古されたテーマをいかに重くならずに論じるかなのである。
預言書
「創世記」で造物主が万有を創造し「黙示録」で破壊するという、見事な配列。聖書の配列とおんなじである;いろいろな偽書もあるなかでも経緯はどうあれ正典中に含まれることとなった「ヨハネの黙示録」は、人類の完全な滅亡だけでなく宇宙まで一切破壊する。
その後造物主とされるキリストが現れ新しい世界を造る。そこにはもう死も悪も地獄もなく善があるのみである。このような幻を作者は島流しにあっていたパトモスというところで見たと言う。この形式は旧約聖書の文書でも”預言書”と呼ばれる分類に入ると思われる。
つまり、ここに書かれていることは単なる想像力による架空の話ではなくて、未来に起こるであろう真実なのであった!
大災害
人類と文明を襲う恐るべき災害が次々に訪れるが、それがどんなものであるか、枚挙してみると:(い)巨大な星が落下(ろ)燃える火のような山が落下(は)全て血になる海と川(に)全ての人にふりかかる病気(ほ)大地震:などである。
核戦争か地球への惑星衝突にしか比較イメージできないこれらの大災害は、その年・その日・その時に実際に起こるのだと言う。この時間については造物主とされるキリストも知らず、ただ至高の父のみが知るとされる。
また元来生成消滅の領域とは無関係とされる天界までが揺り動かされるのだから凄まじい。すなわち”星が落ち、太陽は暗くなり”。闇については煙などによって大気が覆われれば説明がつくものの、”星が落ちる”とはどういうことであろうか?
当時は天動説だったからそのような表現をしたのかもしれない。より正確に譬えを用いるならば、地球の自転軸が本来の位置から引きちぎられて公転軌道を外れる現象を指すものと思われる。そうすれば地球はジェットコースターのように揺すぶられて恒星天、第8天など呼ばれた星座のある天界が”落ちる”ように見えることだろう。
反キリスト
これらの大災害が起きようとするとき、反キリストが現れる。この人類の敵はいろいろな名前で呼ばれている:獣、大淫婦、荒らす憎むべき者、太古の蛇、サタン、赤い竜、などがある。
特に「獣」についてはダニエル書でも書かれており相当インパクトがある。すなわちその獣は致命傷を負っても治り、魔法によって人々を惑わし、獣の像を造らせて拝ませ、拝まない者は皆殺す。
人々は驚き恐れて皆獣を拝む。また諸国の水の上にいる”大淫婦”は獣にまたがり、獣には神を汚す様々な冒涜の言葉が書かれており、女の額には
"MYSTERY, BABYLON THE GREAT
THE MOTHER OF PROSTITUTES AND OF THE ABOMINATION OF THE EARTH"
(神秘、大いなるバビロン、地上の汚らわしきものと淫売婦たちの母)
と書かれている;また獣の像には口と目があり、言葉を話すこともできる。拝む人間には獣の刻印が押され、刻印とは獣の数字である。それは有名な数字666である。
カバラ数字
ヘブライ語は数字と同じらしい。またカバラと呼ばれる数字の組み合わせもあるそうな。この666も多分そうだろうし、12とか144000とかもそうなのだろう。もちろん7も。
特に調べたり研究してないので知らないがそういう学問もあるみたいだ。興味のある方は当たって見たら良かろう 😀