評論

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ワーグナーが語るベートーヴェン──ボードレールも魅了された芸術の本質

ワーグナーが語るベートーヴェンあのワーグナー──ボードレールやニーチェも熱狂し、ビアズレーの挿絵などでも知られるこの巨匠が、実はベートーヴェン論を書いていたのをご存知だろうか? その名もズバリ『ベートーヴェン』。タイトルはシンプルだが中身は...
哲学

【異質的なもの】廃れた神々と、私たちの忘却──科学時代を超えて

【異質的なもの】廃れた神々と、私たちの忘却形容詞──脳髄への注射この世には注射針を使う薬や、飲み下す薬があるが、最も劇的なものは目と耳から入る薬だ。なぜなら、それらは直接、脳に作用するからである。「神」や「神々」という単語も、とうの昔に役目...
哲学

【終末の正四面体】焼肉と脂肪に満ちた80年後の覚醒

【戦後80年の幻】崩れた平和、燃える脂肪──焼肉の時代の終わりに時間という立方体まず、あなたの頭の中に「立方体」を思い浮かべてほしい。これはあなた自身の「時間」である。このキューブは他の誰にも見えず、ただあなたの内側にだけ存在する。だがある...
哲学

【聖体拝受と自然の恵み】パンとワインが築く肉体と永遠の命

口御身らよ、耳を傾けよ──われらは飲み物と食べ物によって造られし者なり。 初めより、われらは口を与えられた。口より飲み物食べ物を受け、腹に納め、後には排す。 胃袋もまた、天地創造の設計により賜りし器なり。われら、口と胃袋を与えられし者は、日...
評論

【インクレディブル】有り得ない夢から目覚める途中──覚醒と虚構の狭間で考える現代

「インクレディブル」〜有り得ない夢からの目覚めの過程にある3分の一の覚醒状態について人種肌の色、髪の色、目の色、体格──国の位置、文明と歴史、気候、言語……。惑わされるな。これらはすべて見た目に過ぎない。本質を見抜き、仕組みを解き明かすのだ...
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666と憎しみの公園|滅びの預言と暗黒哲学の黙示録

Revelation──黙示と数字666──それはヨハネの黙示録に「獣の数字」、あるいは「人間の数字」として現れる。この解釈を巡っては、ミヒャエル・マイヤーの錬金術書『逃げるアタランテ』にもあるように、哲学の薔薇園の門をくぐるのではなく、塀...
哲学

「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」とは何か|ダニエル書に見る運命と滅びの預言

宴会と不吉な手旧約聖書『ダニエル書』ほど、不思議な雰囲気をたたえた本も珍しい。短いながら、神秘的な物語と言葉に満ちている。なかでも有名なのが、“メネ・メネ・テケル・ウパルシン”のエピソードだ。これは章の題名ではない。内容はこうだ──。あると...
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殉教と大義の哲学|古代キリスト教と三島由紀夫に見る「生と死」の意味

信仰の行方西暦3〜4世紀、キリスト教が公認され、迫害が消えたとき、信徒たちは戸惑った。かつて神の国を目指してこの世をさすらい、死をもって信仰を証明していた彼らにとって、安穏な生とは「死に場所を失う」ことに等しかった。生きていても意味がない。...

【マンディアルグ『大理石』註解】血と狂気を越えて──透明な世界への旅

フランス語原文と澁澤龍彦訳を参照しながら、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの『大理石』を可能な限り註解する。Grand Spectacle(大いなる光景)マンディアルグは、極めて慎み深い師である。彼が小説という形で遺した『大理石』は、...
哲学

【形而上学】地獄はあるのかどうか、精神および魂の不死〜ルクレーティウスに寄せて

物質と精神のあいだで地元の図書館から借りてきたルクレーティウスの『物の本質について』を読んでいる。著者は、精神や魂は死とともに消滅すると主張する──その一節に出くわしたとき、一度は本を閉じた。しかし、いや待てよと思い直し、読み進めているとこ...