【入門】古代エジプト神話の神々たち|ツタンカーメンの名に込められた秘密

文明

古代エジプト神話に登場する神々を、初心者向けにざっくり紹介します。ファラオの黄金マスクや死者の書に秘められた“神の名前たち”——意味がわかると、あの謎めいた象形文字がグッと身近になる。

◆ツタンカーメンの名前の秘密

あの有名な黄金のマスクの主、「ツタンカーメン」。実はこの名前、象形文字で Tut-Ankh-Amen と分解できる。

  • Amen(アメン):太陽神アメン・ラーから。昼の太陽と夜の冥界を司る“光と闇”の神で、復活の象徴。
  • Ankh(アンク):生命の鍵と呼ばれる象徴アイテム。丸い輪がついた十字型で、生命エネルギーを意味する。
  • Tut(トゥト):もし“トート神”を指すとすれば、これは知恵と魔術の神。鳥(トキ)の頭を持つ書記の神であり、後にギリシャ神話のヘルメスと融合して錬金術の祖「ヘルメス・トリスメギストス」となった。

つまりツタンカーメンの名前には、「命(アンク)を与える太陽神アメンと、知恵の神トートに祝福された少年王」という意味が込められているわけだ。めっちゃ神々のチート設定。

🌀詳しくはこちら→【ヘルメス文書】ヘルメス・トリスメギストスの謎

◆死者の書に登場する神たち

ファラオの墓に描かれた「死者の書」——それは神々との面接試験であり、魂の冒険譚でもある。そこに登場する代表的な神々を紹介しよう。

  • オシリス(Osiris):冥界の王。弟に殺されバラバラにされるが、復活して死後の世界を統治する。死と再生の象徴。
  • イシス(Isis):オシリスの妻で魔術に長けた女神。夫の遺体を魔力で復元し、復活させた。愛と再生の女神。
  • ヌゥト(Nut):天空の女神。体をアーチのように曲げて大地と空を分けている。夜になると星を飲み、朝になると吐き出す(つまり星空=彼女の身体)。
  • ゲブ(Geb):大地の神。ヌゥトの夫。つまり「天が女で、地が男」という発想。逆転の発想すぎる。
  • シュー(Shu):大気の神。ヌゥトを上に持ち上げてる。ずっと空気持ち上げてるとか、肩こりすごそう。
  • ホルス(Horus):ハヤブサの姿をした天空神。オシリスとイシスの子。復讐と王権の象徴で、ウジャトの眼(ホルスの眼)として知られる。
  • ウジャト(Wadjet):蛇の姿をした女神。ホルスを守護する母なる存在。「ホルスの眼」はこの女神の象徴でもある。

これらの神々は、死者の魂が冥界に入る際のガイド、試験官、あるいは守護者として現れる。エジプト神話は神の人数がとにかく多く、しかも人間+動物のミックスデザインでキャラが濃い。まるで神々のRPGパーティー。

◆神話が現代に残したもの

アンクの形は十字架にも影響を与えたという説があるし、ホルスの眼は「すべてを見通す目」としてフリーメイソンにも登場する。

また、トート神=ヘルメス=錬金術というラインを辿ると、エジプト神話は「西洋オカルトのルーツ」にもなっている。ここから魔術書やエメラルド・タブレット、カバラ、タロットへと枝分かれしていく。

……とまあ、初心者向けのはずがどんどん深淵に足を踏み入れそうなので、今日はここまで!

⚫️関連記事はこちら→【ツタンカーメンの墓】20世紀最大の発見をめぐる黄金と呪い

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