2025

【失楽園レビュー②】サタンの誓いとケルビムの剣―人間が楽園に戻る日は来るのか?

残された希望 楽園を追われたアダムとイヴは、罪を背負って荒野へと旅立つ。そこから人類の歴史が始まるが、以後人間は、地獄から自在にやってくるルシファーの軍勢に常に晒されながら生きることになる。 しかし、聖書は希望を語ってもいる。のちに生まれる...

【失楽園レビュー】ジョン・ミルトンとサタンの詩―盲目の詩人が描く“堕天”と人間の運命

盲目の詩人、ジョン・ミルトンイギリスの詩人ジョン・ミルトン(1608–1674)が晩年に生み出した叙事詩『失楽園(Paradise Lost)』は、彼の生涯を代表する傑作である。執筆が始まった1658年、すでにミルトンは失明していた。耳の聞...
日常

 【牛丼太郎と紅生姜】バブル時代の高円寺で貧乏飯を喰らう

バブルと牛丼筆者はバブル期の経験者である。若者はボウイのライブに出かけて、帰りにエッチする。ブランド物の服が正義とされ、大学生でもクリスマス・イブに高級ホテル予約は必須。フッション雑誌が「ダサい/カッコいい」の基準を定め、皆がそれをマネした...
絵画

鐘の音に導かれて――ミレーとダリ、ふたつの《晩鐘》の黙想

祈りの時を描く:ミレー《晩鐘》とダリの再構築まずはこちらの作品をご覧いただきたい。ジャン・フランソワ・ミレー(1814–1875)による代表作《晩鐘》である。静かな祈り:ミレー《晩鐘》の魅力一日の労働を終えた夫婦が、夕暮れ時の畑で立ち止まり...
文明

血と太陽のピラミッド――マヤ文明の祈りと狂気

ククルカンのピラミッド:チチェン・イッツァーの神聖空間メキシコ・ユカタン半島東部に位置する世界遺産、チチェン・イッツァー。私にとって世界でもっとも訪れてみたい場所の一つだが、今のところ諸事情により写真と文献のみでしか触れられない。そこにはマ...
哲学

デカルト『方法序説』を読み直す:我思う、ゆえに我在りとブレードランナーの十字路

デスクの上のiMacには『ブレードランナー2049』が流れている。ジョニーウォーカー12年は高くて買えない。代わりに赤いラベルの安ウイスキーをロックグラスに注ぎ、キャラメルコーンをつまみにしながら考える。「我思う、ゆえに我あり」。この有名な...
日常

宮城ラーメン探訪|地元民が通うおすすめ店5選【くるまや・山岡家・ビリーほか】

🍥 掟破りのラーメン記事です。これはね、東京から地元・宮城に戻ってきた2014年当時、どうしても“うまいラーメン”が食べたくてあちこち探しまくった記録です。あれからもう10年。時代も味覚もずいぶん変わったけど、ラーメンにかける情熱だけは全然...
映画

フォースは今も生きているか?スターウォーズ再考と“ローグ・ワン”という奇跡

【スターウォーズ再考】あの銀河系は今、どこへ向かうのかスターウォーズ——かつて「遠い昔、はるか彼方の銀河系で」という言葉とともに始まり、観る者をその世界に引き込んだ伝説的映画シリーズ。ライトセーバーの煌めき、宇宙船の咆哮、そしてフォースをめ...

【リア王感想】シェイクスピア悲劇の極致〜愛も正義も報われない物語

リア王とは『リア王』はシェイクスピア四大悲劇の中でも、最も救いがなく、壮絶な結末を迎える作品です。涙を誘う感動というよりも、あまりに過酷で残酷な展開が続き、「正義」も「悪」も最後には破滅していく——そんな凄まじい物語です。3人の娘と王の誤算...

【オセロー感想】嫉妬と愛の炎に焼かれて―シェイクスピア悲劇の真髄

作品概要シェイクスピアの四大悲劇のひとつ『オセロー』には、魔女も幽霊も出てきません。けれど代わりに、悪魔のように狡猾な人間が登場し、地獄の妄想に育てられたような激情が物語を支配します。悲劇か喜劇か、という分け方は結末がハッピーかどうかで語ら...