2018

評論

舩坂弘【英霊の絶叫】玉砕島アンガウル戦記・および三島由紀夫の序文

「武士道」と宗教「武士道」というものを哲学的に考えることは無謀ではない。無宗教国家とも言える日本の生死に対する考え方を特徴付けるのが「武士」であると仮定するならば、あながち間違ったことではないと思う。無宗教と書いたのは以下の理由による。すな...

三島由紀夫【サド侯爵夫人】わかりやすく紹介・2018年最新

概要戯曲「サド侯爵夫人」は1965年に発表された。ものの1時間で読み終えることも可能。元となったのは澁澤龍彦の「サド侯爵の生涯」である。こちらは分厚いのでたっぷり時間をかけて読まなくてはならないが。三島氏が着目したのはお得意の表裏一体のサド...
小説

三島由紀夫【命売ります】小説・レビュー〜ライフ・フォー・セール社〜値段は言い値でおk

三島由紀夫の「命売ります」はいかにも氏らしいテーマ・タイトルと思われることだろう。この作品は「週刊プレイボーイ」に1968年、つまり氏が割腹自殺する2年前に21週にわたって連載された。週刊プレイボーイ「週刊プレイボーイ」は若者向けの娯楽雑誌...
映画

【レヴェナント:蘇りし者】レビュー〜評価・感想とあらすじ

紹介こちらは2015年公開のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥという「バベル」で知られる長い名前の監督の映画である。ゴールデングローブ賞をはじめとした数々の受賞記録がある名画である。監督には最近だと「バードマンあるいは無知がもたらす予期...
日常

【一級建築士】試験 勉強法と合格体験談〜40代で挑んだ記録

「建築士は,常に品位を保持し,業務に関する法令及び実務に精通して,建築物の質の向上に寄与するように,公正かつ誠実にその業務を行わなければならない」と建築士法に書かれている。この記事を日常というカテゴリーのひとつとして見るならば、サイト掲載に...
評論

澁澤龍彦【サド侯爵の生涯】サディズムと涜神の文学者、マルキ・ド・サドの全て

紹介この本は最初1964年昭和39年に発表され、その後補遺を重ねながら現在の形になった。私が手に取ったのは中公文庫昭和58年度初版の第5刷である。題名及び表紙は地味で、中身の異常な面白さとあまりマッチしていない。およそ400ページ弱にのぼる...
エッセー

【原宿ホコ天】の記憶〜バンドブームとアマチュア・パンク・バンド

特定を若干おそれながらもすでに30年に近い年月が経過していること、及びWEB上の資料的価値を考慮し1980年後半〜1990年初頭の原宿歩行者天国とそこに実在したパンク・バンド「バーニング・キッズ」について語る。 ホコ天それは代々木公園の南側...
評論

三島由紀夫【私の遍歴時代】青年が「文士」になるまでの赤裸々な回想録

自伝的評論のような作品「私の遍歴時代」は中公文庫版「太陽と鉄」に併録されている。セットでお得なうえ読み物としてもかなり面白い。 納得ある晩のこと、三島由紀夫の魂が黄泉から現れて、茶色くなった古本のページに印字された文字を通して「遍歴時代」の...
評論

澁澤龍彦【快楽主義の哲学】と奇妙な三角形

澁澤龍彦(1928ー1987)は日本のフランス文学者・評論家で晩年は小説も書いた。裁判沙汰にもなったマルキ・ド・サドの本を翻訳・紹介した人として知られる。出会い前半の場を借りて澁澤龍彦の本が読者の心にどういった作用を及ぼすかを、私個人を一例...
評論

三島由紀夫【太陽と鉄】内容と解説〜三島由紀夫による葉隠的作品

死の観念この作品は念のため2回読み終わった。それくらい三島氏の死の観念、美の理想、切腹の動機をあからさまに説明している。実は今澁澤龍彦氏の「快楽主義の哲学」も読んでおり、これを読んだあとに比較という形でレビューすべきかと思った。というのは両...