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【ブッダのことば】「スッタニパータ」(中村元訳)レビュー〜原始仏典から読む釈迦の教え

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「ブッダのことば」(スッタニパータ)は釈迦族から生まれたゴータマ・シッダルタの教えをまとめた、仏教の最も古い聖典。日本人にとっても身近だが時代を経るに従って誤解され、曲解され、複雑化されたためもはや元の形をとどめ得ない釈迦の教え。

そもそも釈迦の説いた「理法」とは何だったのかについて、もう一度考えて見たい。

説法

解説によるとゴータマがインドで説法を行ったのは紀元前4、5世紀頃なので西洋の歴史に比してさほど昔ではない。またチベット密教のこれまた聖典「バルドゥ・ソドル」がもたらされたのも14世紀と遅い。

インドという西洋から離れた世界で独自の哲学が発展したことはごく自然な結果である。そのためゴータマの教えやチベット仏教の書物で説かれる用語が、西洋哲学のそれと異なった用法で語られるため、西洋文明に慣れ親しんだ現代人は非常に慎重に読まないと誤解が生ずる。

こういった意味で「ブッダのことば」は非常に危険な教えである;筆者の例では17歳の時に思春期の悩みを解決したくて気軽に手を取ったのが最初であるが、はっきり言うとこの本は20世紀日本の17歳の童貞が読んで理解できるような内容ではない。

ただ”無明”に覆われた無力な青年に何かこう「完全なもの」「完全な知識」「完全な境地」のようなものが、そこにたどり着くことは極めて困難であるとしてもあるのだ、という漠然とした概念を植え付けることはできた。

目覚める

仏陀とは”目覚めた人”であり、安らぎ・無上の幸福の境地とは”ニルヴァーナ”であるという。そこに至るには”激流”を渡り”彼岸”に達する勇者であらねばならない。。。結論から言って「スッタニパータ」だけで現代人が”解脱”することは不可能である。

仏陀が説くこの世の様々な妄執、”悪魔が張り巡らせた罠”を脱するにはあらゆる手段、あらゆる知識たとえば「バルドゥ・ソドル」が必要である。「スッタニパータ」が極めて困難なものとする解脱が「バルドゥ・ソドル」によって一挙に身近なものになる。

ゴータマが原始仏典で説いているような生活スタイルを現代社会に当てはめてみると、ホームレスで無職の生活を推奨しているだけなのである。この点からして教えの実践は無理な話だ。彼が生きていた頃の国・時代と現代はあまりにも違うからである。

●参考記事→【チベットの死者の書】欲求を解放することによる自ずからの解脱とは〜ちくま学芸文庫版レビュー(2018年6月最新)

識別作用

土星が太陽を1周するほどの期間を開けて「ブッダのことば」を再び読んで見て気付いた点をいくつか挙げる;ブッダつまり”目覚めた人”とはヘルメス・トリスメギストスが教える「覚知」を体現した正覚者にあたり、無明とは同じく「無知」すなわち「覚知なし」状態を指す。

種々の生存に舞い戻ることすなわち”輪廻”とは、名称と形態という妄執・執着から生じた”我あり”の識別作用が、上・下・横・中間の”ひろがり”を形成し、その中を動き回っているとの迷いから起こる;その状態は夢の中にいるようである。

人体はあらゆる臓器から出来ているが、この臓器のどこにも”自己”は存在していないのにも関わらず、人体が5感によって感覚した刺激を脳の中にある”名称と形態”が、ある”ひろがり”の中にあって(これが世である)動き行為している”我”があると思い込む。

種々の夢の連続が人生である。次に”空”についてだが、正確には自然に空虚などありえない。あるのは元素である。元素は金属・非金属に分類される。金属原子同士が結合すると金属結合と呼ばれ、金属と非金属原子のそれはイオン結合、非金属同士のそれは共有結合である。

これら原子同士の結合体を5感が捉えて”名称と形態”を脳内で付与する。これが妄執となり、さらに妄執に執着するという事態が発生し、欲望が起こる。以下、ゴータマが説く悪魔の罠にかかり苦しみに陥る。

●参考記事→【ヘルメス文書】ヘルメス・トリスメギストスの著作とされる謎の文書とは

まとめ

わかったようなことを書かせてもらったが、最後に筆者は偉ぶってるのでもなければ学者になりたいわけでもないことの証として、以下の余談をもってこの記事を終わろうと思う。

ソープを予約して嬢に会えるかどうかはまず星辰が運行してその日が来なければならない。店にたどり着けるかどうかは身体の原子がそこまで運ばれなければならない。最後に生でやってしまった場合、病気になるかどうかは原子同士の共有結合によって決まるであろう。

●関連記事→【全能性】について〜ニルヴァーナ状態の実現のために

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