【仕事と日】古代ギリシャ詩人「ヘシオドス」の突っ込みどころ満載な本

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ギリシャ神話の集大成『神統記』でも知られホメロスと同時代人とされる紀元前7世紀頃の詩人ヘシオドス;かれの『仕事と日』は「神統記」と並ぶ人気のある代表作である。

現代人が読んでも非常に面白いだろうこの詩は、神話を織り交ぜたりしながら書かれかつ古代人の天文的知識を学ぶこともできる。突っ込みどころも満載なため本はあっという間に付箋だらけとなってしまったが、図書館から借りてきた本なためどうしても欲しくなりアマゾンをひらく。

岩波文庫版は注釈も丁寧で内容も充実しており、全部の註を読んでもいいくらい面白い。これは絶版なのだろうか、古本で1000円もする。高いと思った私は洋書のペーパーバックだと『神統記』と『仕事と日』がセットで1000円で売っていたためこちらを購入した。

ニートへ

さて現代の人は仕事しているかしていないかのどちらかだ;仕事にも色々あるけれども大抵この国の労働環境は安い賃金をもらって奴隷的な過酷な長時間労働を強いられている、というのが一般的だろう。では仕事していない人たちはというと、

無職とかニートと呼ばれ引きこもったり周囲からけなされたり嘲笑されている。病気で休んでいる人たちもおろう。ここで紹介するのはニートに向けた言葉、すなわち働くことができるのに単なる怠け心で働かない人たちに対する励ましである。

「労働は決して恥ではない、働かぬことこそ恥なのだ。お前が働くようになれば、たちまち怠け者は、お前が金持ちになるのを見て羨むであろう、富には栄位と名誉とが伴うからだ。」

しかしヘシオドスの言う”働く”こととは、星の動きや季節の変化を読んで地を耕し種を撒いたり、はたまた船出することを指す。だからニートがまず職安に行かなかればならないのと違い、意欲さえあればすぐ行動に結びつくいう点が現代とは異なる。現代には働くまでにもっと多くの罠と障害がある。

天文学

「アトラースの姫御子、プレイアーデスの昇る頃に刈り入れ、その沈む頃に耕運を始めよ」古代の詩にはよくこれに似たような記述が見られるが、これは星座の出現を歌いながら時節を表しているのである。

ダンテの『神曲』などでも出てくるが、星座の名前と観測者の位置、時代によって星座の出現は変化するため、正確な時を測るにはそれらのデータが必要である。プレイアーデス星団は別称”すばる”と呼ばれ、牡牛座の主星であるアルデバラン付近に固まっている星団で非常に目立つ。

アルデバランは赤い一等星だがベテルギウス、プロキシオン、そして恐ろしく光り輝くシリウスで形成されている冬の大三角形の西側にあるオリオン座のすぐ西に見られる。さてこのプレイアーデスの”昇る頃”と作者が言うのは日の出直前に地平線上に昇ることを指し(heliacal rising)、”沈む頃”とは反対に日の出の直前に沈むこと(cosmical setting)である。

星座は100年に1度ずつ移動しており、北極星の仰角は観測者の緯度と一致するから、当時で言えば前者は5月11日、後者は10月末である。 *注釈による

「冬至の後、60日の冬の日々をゼウスが果たし終えられる時、アークトゥルス星は、オーケアノスの聖なる流れを後にして、燦然と輝きつつ、黄昏の空に始めて昇る。」(acronychal rising)

最後に

「陽に向かい、立ったまま放尿してはならぬ。しかし陽が沈めばーよいか忘れるなよー陽がまた昇るまで、道の上であろうと、道から外れてであろうと、歩行中に放尿してはならぬ、また前をはだけてしてもいかぬ、夜は至福なる神々のものであるからな。

分別のある男ならば、しゃがんでするか、堅固に囲った中庭の壁の傍まで行ってする。」

「然るべき年頃で嫁を迎えて家に入れよ。嫁をもらう年は30にあまり足りぬのも宜しからず、それを超えてもならぬ、それが結婚の適齢期じゃ。妻は、女となって4年、5年目を迎えた娘を娶れ。

嫁には生娘をもらえ、さすれば妻として心うべき嗜みを躾けることができる。なるべくはお前の近くに住む娘を娶るのが良いが、近所の笑い者になるような縁は結ばぬよう、万事十分に調べた上でせよ。」

●関連→アラトス【星辰譜】西洋古典叢書「ギリシャ教訓叙事詩集」より紹介

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