ダンテ【神曲】まとめ(20)〜「煉獄篇」第22歌・第23歌・第24歌
第22歌~スタティウスと浪費の告白
第五圏で浄化を終えたラテン詩人スタティウスが、ダンテとヴェルギリウスに同行することとなった。ヴェルギリウスと並び歩く詩人同士の対話を、ダンテは深い尊敬の念をもって聞く。
スタティウスはかつて「浪費の罪」によってこの煉獄に送られたことを打ち明ける。さらに、ヴェルギリウスの詩を通じてキリスト教の教えに触れ、当時のローマ皇帝ドミティアヌスによる迫害のもと「隠れキリシタン」として信仰を抱いていたと語る。
次なる第六の圏に向かうと、幹の上部が太くなった登れない木が立ちはだかり、そこから大食を戒める声が響いてくる。枝には果実が豊かに実っているが、誰も手を伸ばすことは許されていない。
第23歌~フォレーゼと祈りの力
「大食」の環では、骨と皮ばかりにやせ細った敬虔な魂たちが歩いてくる。その中の一人がダンテに話しかけた。生前の友人、フォレーゼ・ドナーティである。
彼は、地上に残る妻の祈りによって自身の煉獄の進行が早まったことを語る。祈りは煉獄の魂にとって強力な助けなのだ。また彼は、当時のフィレンツェの女性たちの軽薄な装いを嘆く。街中で胸をあらわにして歩くその姿は、まさに堕落の象徴だった。
第24歌~詩と鰻と魂の清め
続く道中、詩人ボナジュンタが現れ、ダンテと詩の表現技法について語り合う。煉獄にも文学談義はあるのだ。
さらに登場するのが法王マルティーノ4世。鰻をこよなく愛した彼は、白ワインで鰻を溺れさせてから焼いて食したという逸話の持ち主。寝室にワイン水槽を設けていたという徹底ぶりである。
やがてまた一つの木が現れ、人類最初の「過ち」を暗示する。魂たちはその木に向かって両手を差し伸べ、何か呟きながら過ぎ去っていく。
その時、燃え立つような輝きをもった天使が現れ、ダンテの額から六つ目の「P」の文字を消し去る。これは「Peccato=罪」の頭文字。魂が一歩ずつ浄化されていく印である。
まとめ~ラスト直前の浄化の道
「大食」の罪は厳しい──と、ダンテを読みながら、筆者もつい酒やラーメンを思い出してしまう。
いよいよ次は煉獄第七の環、「好色」の清め。そしてその先、ダンテは長き旅路の果てに、ついに永遠の女性・ベアトリーチェと再会するのだ。
クライマックスへ向けて物語は神秘的な儀式と共に加速していく。ヴェルギリウスの役目も終わり、いよいよ天国篇へ──。
🌠続きはこちら→ ダンテ【神曲】まとめ(21)〜煉獄篇 第25〜27歌
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