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【Book of Jasher】「義人の書」洋書レビュー〜退屈な歴史書の中に奇妙な果実を拾う

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概要

今回は実に退屈な本の紹介。"Book of Jasher"は旧約聖書の各部分で言及されている書物の1つであり、現存する唯一の本だそうだ。

これの英訳がすごく低価格だったために、衝動買いしてしまった。内容は一言でいうと創世記と出エジプト記の大幅な引き伸ばし、とでも言おうか。

唯一役に立ったのはややこしい地史がAMという年代記により、時系列で整理されていること。これにより出来事が世界創造後何年目に起きたかがわかる。

奇妙

かなりの付け足しがあるので、無論正典からの改変や、非常に奇妙な事件なども発生している。なのでこの本を読むならば、そのような正典にはない”奇妙さ”を見つけ、拾っていくのが楽しみとなる。

それ以外は延々と続く戦争や系図なので、これが霊感を受けて書かれたものではない、ただの歴史書と言われる所以も、あながち意味のない評価ではないのである。

この退屈さに比べたら、サムエル記とか列王記、歴代誌等の聖書の似たような部分など100倍も面白い。では”奇妙な”と言われるいくつかの箇所を紹介する。

各項

① ノアの洪水の前に雪が降る。

②原人の一人カイナンは霊と悪魔を支配する。

③モーゼが起こした災害の中に動物の災害がある。あらゆる動物が総出で襲ってくる。その際エジプト人は家の奥に隠れるが、腕の長い海の怪物Sulanuthが送り込まれ、屋根を破り扉を開け放つ。

④アダムとイブが楽園を追放されるときに神にもらった皮の衣が、伝説化され遺物のように伝承されている。その皮はノアの世代を超えてニムロデに渡り、ヤコブに伝わる。それを着ると力が強くなる。

⑤モーゼが海を渡るとき、12部族の部分に分かれる。

⑥アナという原人がYeminなる大きな獣の群に襲われた話。さらにYeminはKeephas, deecephasという不明な動物に似ていると書かれている。上半身熊下半身人間で肩の間から足まで垂れる尻尾が生えている。この獣がアナのラバを乗り回し、最後にアナを尻尾で叩いて逃げる。アナは恐怖で度肝を抜かれる。

他にもアブラハムが生まれるときキリストのように星が先行したこと、ゼフォが洞穴で半身人半身蛇の怪物を退治したことなどがあるが、総じて多くはなく、面白さよりも退屈さの方が多いのは否めない。

まとめ

Book of Jasherもまた正典に光を当て違った角度からこれを鑑賞するに堪える本であるけれども、全体に予言書や聖なる書のような霊感は感じられない。ただの新聞のような味である。

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