ウォール街の静かなる殺し屋と金融シャーマンの実態
願わくばVIXは眠り続け、
利上げの影は遠く、
チャートは穏やかであれ。
さすれば君はまた、
金融という呪詛を語る夜に戻るだろう。
ウォール街のファンドの主な種類
ウォール街のファンドにはざっくり以下のような種類がある:
-
ヘッジファンド: 高リスク・高リターン。資金を集めてアルゴリズムや頭脳(たまに運)で爆益を狙う。ただし客側の最低投資額は100万ドル程度icapital.comからで、運営側は年2%の管理費+利益の20%を取るicapital.com。「うまくいけば」ファンドマネージャーがプライベートジェットを買い、投資家はまあまあ儲かるが、もちろん常にうまくいくとは限らない。
-
プライベート・エクイティ(PE)ファンド: 企業を買ってバラして売って…というハゲタカ業。利益は出やすいが時間がかかる。しかも資金拘束(ロックアップ)が長く、君が「ちょっとお金下ろしたいんだけど」と言っても「は?7年後まで待て」と言われるinvestopedia.com。気長な大口投資家向けの、長期戦ビジネス。
-
ベンチャーキャピタル(VC): 夢と希望とユニコーン(架空の大当たり企業)に投資する世界。成功すればリターン10倍、失敗すれば出資金は紙くず。投資先はスタートアップ中心なので壮大な詐欺も時々混ざる。まさに宝くじ付きカジノ。
ファンドは儲かるのか?
で、儲かるのか? 上にいるやつは儲かる。うまくいけば年収数億円。ただ、その下で働くアナリストやアソシエイトは1日18時間労働で、時給にするとコンビニバイト以下(しかも人間扱いされない)。
ファンドに投資する側? 知り合いにファンドマネージャーでもいないと、そもそも門前払いされる世界。仮に投資できても、損しても誰も謝ってくれない。「自己責任です♡」で終わり。
ファンドで働く側? 数学・経済の鬼+社交スキル持ちという変態だけが生き残る修羅の道。常人にはおすすめしない。おまけにハゲやすいし、魂も削れる。でも、生き残ればスーツの質だけは上がるよ。
要するに、ウォール街のファンドは「人から金を集めて、うまくいったら自分が儲かる」システムだ。もし君がそのシステムを動かす側に回れれば――うん、クソ儲かる。でもそれって、たいてい君じゃない。
“静かなる殺し屋”――ウォール街の伝説たち
ウォール街には表舞台で騒がず、静かに市場を斬る「静かなる殺し屋」的な伝説の投資家がいる。例えば:
-
Ray Dalio(レイ・ダリオ): 生年月日1949年。Bridgewater Associatesという世界最大級のヘッジファンドの元ボスen.wikipedia.org。近年は悟りを開いた仙人のような雰囲気で、『Principles(原則)』という著書では「人生は意味のあるロジックで構成されている」などと説くタイプ。見た目は穏やかな禅マスター、中身は「お前のポートフォリオに欠陥あるな」と静かに刺してくる金融の達人。
-
Jim Simons(ジム・サイモンズ): 元数学者で元NSAの暗号解読者、そしてRenaissance Technologiesの創設者。伝説的なMedallionファンドで年平均40%近いリターンを30年近く叩き出したmedium.com金融界のオーパーツ(チート兵器)だ。口数少なめで、数学の魔法で相場をねじ伏せる人物。現在は第一線を退き、巨額の寄付で世界を動かす賢者モード。
-
Robert Mercer(ロバート・マーサー): 上のジム・サイモンズの部下だったくせに、後に政治やメディア操作にまで手を出した闇の資金提供者。たとえばCambridge Analyticaによる選挙干渉などインターネット暗黒魔術系の資金源en.wikipedia.orgとして知られる。寡黙だが潤沢な資金を持つ、まさに静かなるタイプ。その風貌は本当に『ジョン・ウィック』のコンチネンタルホテルのロビーにいても違和感がない。
-
Stanley Druckenmiller(スタン・ドラッケンミラー): ジョージ・ソロスとコンビで1992年にポンドをぶっ潰したen.wikipedia.org伝説の投資家。超静かながら、その一言はマーケットを震え上がらせる。やることはまるでジョン・ウィックが経済のド真ん中をヘッドショットしている感じで、狙った獲物(通貨や市場)は逃さない。
要するに、「静かなる殺し屋」とはウォール街では声を荒らげずにマーケットを葬る人たちのこと。一度のクリックの取引で数千人の雇用や企業の未来を吹き飛ばす連中だ。映画と違うのは、現実のほうがずっと残酷で静か、そして儲かるってとこだね。ウォール街の上の連中なんて、もはや物理法則の外で動いている魔法使いみたいなものだ。
金融魔術師 ≒ 古代の神官魔法使い説
ウォール街の金融の達人たちがあまりに常識外れなので、「金融魔術師=現代の神官魔法使い」という仮説すら立てられる。例えるなら:
-
モーセ: 海を割る神の代理人。市場にも道を作ってしまうレベルの奇跡を起こす。
-
ファラオの魔術師たち: 杖をヘビに変える程度の手品を見せるが、最終的にはモーセに敗れる。ウォール街でいえばイキってるけど最後は死ぬ弱小ファンドだ。
-
現代のレイ・ダリオやジム・サイモンズ: 上記モーセ側の派閥。彼らは海ではなく市場を割る。
では、その魔法の正体はというと――
-
ジム・サイモンズの魔法: 数学魔法。アルゴリズム=彼の呪文だ。
-
レイ・ダリオの魔法: 宗教的自己啓発+マクロ経済の魔術。「原則(プリンシプル)に従えば世界が見える」――ほぼ予言の域である。
-
ジョージ・ソロスの魔法: 反射性理論という名の世界操作魔術。それを信じ切れるのはもはや信仰のレベル。
要はウォール街は理論武装したシャーマン(呪術師)国家なのだ。彼らはグラフという名の内臓を読み、ボラティリティ(変動性)の精霊に祈り、雇用統計の日には儀式のように踊る。現代の金融シャーマンたちは、最新のテクノロジーと古代のような勘を併せ持つ不思議な生き物だ。
金融シャーマンの生態(完全版)
-
マーケットの風を読む: 「ファンダメンタル? 違う、それはただの符号だ。」シャーマンは雰囲気で感じ取る――「今日は何かが死ぬ気がする…」などと平気で言う。
-
チャートを神託として解釈: 線を引き、ローソク足に呪を込める。「ここで反発するはず…いや、する気がする」と、もはや祈りに近い予測を唱える。
-
アルゴリズムは召喚獣: クオンツ系ファンドはコード化された精霊(アルゴリズム)を召喚して戦わせている。シャーマンというより、近代のネクロマンサー(死霊魔術師)的戦術だ。
-
トレード後の儀式: ポジションを取った後はチャートから目をそらさず、ブラックコーヒーを淹れて静かに魂を呼び戻す。ちなみに魂はたぶん損切りされたときに一瞬あの世へ飛んでいる。
そいつら何食ってるんだ?
では、そんなウォール街の住人たちは普段何を食べているのか? 役職・立場別に見てみよう。
-
若手ファンドのアナリスト:「コンビニ飯と絶望」
-
朝: ブラックコーヒー+プロテインバー(昨夜から寝てない)
-
昼: ポテトチップスとレッドブル(デスクから離れられない)
-
夜: Uber Eatsのタイ料理(届いたときには冷めている)+未読スプレッドシート地獄
-
心の栄養: Slackで上司から飛んでくる「ナイスモデルっす」という冷めた社内コメント
-
-
上級ファンドマネージャー:「金で時間を食う」
-
朝: 自宅のシェフ特製エッグホワイトオムレツとアサイーボウル(彼らにとって食事はカロリー計算ではなく“ライフスタイル”)
-
昼: 高級寿司のデリバリー、もしくは有力者との会食で高級ワインと牛肉のカルパッチョ
(※寿司のネタが経済指標に合わせて変わる…かどうかは知らない) -
夜: 「No carb, just data(炭水化物抜き、ただデータのみ)」とか言いながらエスプレッソ2杯で済ませる日も
-
栄養補助: 株価の上昇と部下の涙
-
-
クオンツ(数学系投資魔術師):「ロジックで満腹」
-
朝: 忘れる(そもそも朝という概念がない生活)
-
昼: 忘れる(同上。食事よりコード)
-
夜: カップラーメンをすすりながらPythonコードのバグ取りに勤しむ
-
摂取栄養素: カフェイン、数字、そして恐怖
-
-
レイ・ダリオ級の魔導士:「存在がすでに食事」
-
朝: 瞑想+無農薬ジュース。おそらく空気中の「気」を吸って栄養にしている。
-
昼: 食べない。なぜなら彼の放つ言葉そのものが全ての投資家の血肉になるから。
-
夜: 自身の書いた**原則(Principles)**を文字どおりかみ砕いて食べている。たぶん紙ごと。
-
補足: 市場が荒れている日は断食モードに入る。
-
相場が暴落?→「昼メシ? あ、ごめん、それどころじゃない。今、世界が崩れてるから」
相場が爆上げ?→「昼メシ? あ、ごめん、それどころじゃない。今、俺が神だから」
ウォール街の食事=ステータス+ストレス+信仰で味付けされている。実のところ、何を食べるかより、いつ食べるかを自由にできるかが勝者の証だ。もっとも、焼肉を食ってる間にリーマン・ショック級の惨事が来たりもするから、マジで油断はできないのだけど。
結局、ウォール街とは映画以上に静かで残酷、そして底抜けに儲かる魔法世界だ。静かなる殺し屋になれるのは選ばれし変態だけで、残りの凡人たちは今日もまた、冷めたコンビニ飯を片手に夜な夜な金融という名の呪詛を語るだけ……なのかもしれない。
コメント