小説の闘牛場

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『痴人の愛』谷崎潤一郎|ナオミの魅力と倒錯する愛の心理劇【あらすじ・感想・考察】

この小説は文庫版で300ページほど;長編に分類されるが微塵も長さを感じさせず、あっという間に読み終わる。ストーリーは一人称で”です。ます。”調の丁寧な現代語の語り口で進む;しかし谷崎潤一郎先生を読むのであるなら、少なくともこれの前に「刺青」...
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谷崎潤一郎『春琴抄』レビュー|盲目の師弟関係が描くサディズムと美の極地

谷崎潤一郎『春琴抄』レビュー|盲目の男女師弟がたどる究極の愛と服従の物語谷崎潤一郎の1933年発表の中編小説『春琴抄』を紹介しよう。 主人公「春琴」こと鵙屋琴(もずや・こと)は、実在の人物ではなく、物語は完全なフィクションである。読みやすさ...
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マンディアルグ【満潮】短編小説〜従姉妹の唇への激しい欲望

マンディアルグ短編集『満潮』は原題"Mascarets"であり、マスカレは海嘯(かいしょう)、潮津波などと訳される珍しい自然現象である。ところで邦題の「満潮」は短編集の最初に収められ、巻末収録最後の「海嘯」とは異なる。つまり日本語版は目玉タ...
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三島由紀夫おすすめ小説ランキング|初心者向けに厳選した面白い10作品を紹介

【三島由紀夫】おすすめ小説ランキング|初心者にも読みやすく、面白い10作を厳選!三島由紀夫といえば、日本文学の金字塔とも言うべき作家。数ある作品の中で、何を読めばいいのか迷う人も多いのではないでしょうか?この記事では、筆者が実際に読んだ三島...
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【マンディアルグ】短編集『刃の下』より「螺旋」解説|古代都市と愛の神話的降下

【マンディアルグ】短編集『刃の下』より「螺旋」紹介──五芒星の都市へと降りるトンネルの幻想作者についてアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグは、短編小説を中心に活動したフランスの異色作家。詩、長編小説、美術評論、旅行記など多彩な作品群を持ち...
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坂口安吾『女剣士』レビュー|狂気と笑いが交錯する破天荒な短編小説

【坂口安吾】『女剣士』レビュー|笑えて馬鹿げて狂ってる、最高の短編小説!三島由紀夫はこう言った坂口安吾という作家の名前を、教科書で見た記憶がない。たぶん今も国語教材には載っていないのではないだろうか。それもそのはず、太宰治の「走れメロス」と...
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谷崎潤一郎という未踏の世界へ|初期作品からラビリンス文学の魅力を探る

【谷崎潤一郎】という未踏の世界〜いざ迷宮へ日本文学への扉これまでさほど日本文学に惹かれることのなかった私が、その深みと魅力に気づかされたきっかけは、三島由紀夫の作品であった。日本語という言語の奥行き、文字が紡ぐ感性の網——それらは、日本人と...
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【鍵のかかる部屋】三島由紀夫の短編集|少女愛と幻想の密室世界

三島由紀夫・短編集【鍵のかかる部屋】レビュー|“鍵”と“禁忌”の幻想空間へようこそ三島由紀夫の短編集『鍵のかかる部屋』(新潮文庫)は、読み始めた瞬間から何かに取り憑かれるような感覚を覚える一冊だ。書き下ろし小説から晩年の作品まで、異様な美意...
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三島由紀夫『仮面の告白』レビュー|同性愛と文学の倒錯美、元少年A『絶歌』との比較考察

三島由紀夫『仮面の告白』レビュー|元少年Aの「絶歌」と比較して見える文学と狂気原点としての『仮面の告白』三島由紀夫の長編デビュー作『仮面の告白』は、戦後日本文学における鮮烈な一撃であった。戦後まもない時期に、ホモセクシュアルな語り手による自...
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三島由紀夫『愛の渇き』徹底レビュー|未亡人と使用人の狂気と虚無の愛

三島由紀夫『愛の渇き』最新レビュー|老人と再婚した未亡人と使用人の破滅的愛最近、三島由紀夫作品を読み漁っている。日本語という言語の精髄を、原文のまま味わえるのは日本人の特権だ。翻訳された西洋文学も素晴らしいが、現代語の軽さが支配する世の中に...