【三島由紀夫】おすすめ小説ランキング|初心者にも読みやすく、面白い10作を厳選!
三島由紀夫といえば、日本文学の金字塔とも言うべき作家。数ある作品の中で、何を読めばいいのか迷う人も多いのではないでしょうか?
この記事では、筆者が実際に読んだ三島の小説から、「とにかく面白い」「今読む価値がある」ものだけを厳選し、ランキング形式で10作ご紹介します。基本的にネタバレは避け、作品の魅力をしっかりお伝えします。
*各作品の詳しいレビューはこちらにまとめてあります → 【三島由紀夫】作品レビューまとめ(2018年版)
第1位:「午後の曳航」
澁澤龍彦も高く評価した、三島文学の中でも屈指の名作。中編に近い長さで、あっという間に読めます。ダークで美しい世界観、そして背筋が寒くなるような結末。読む者の心をざわつかせる衝撃作です。
第2位:「鍵のかかる部屋」
欲望を抑え込もうとするエリート青年と少女との奇妙な心理戦。短編ながらも濃密で、「こんな話を書けるのは三島しかいない」と唸らされます。息もつかせぬ展開が魅力。
第3位:「音楽」
精神分析医の手記形式で語られる、不感症の女性とのやりとり。戦後の空気感と人間の内面に深く切り込む一作で、読後に何とも言えない感触が残ります。文体も比較的読みやすい中編。
第4位:「潮騒」
ギリシャ旅行後に書かれたという、光あふれる青春小説。マルグリット・ユルスナールも「透明な傑作」と賞賛した、純愛の物語です。三島の暗いイメージを一新する、感動的な一冊。
第5位:「獣の戯れ」
男女3人の奇妙な三角関係が、徐々に崩壊へと向かう短めの長編。狂気と暴力、性愛と崩壊。まさに三島の美学が凝縮された物語で、読後はしばらく呆然とすること間違いなし。
第6位:「夏子の冒険」
知名度は低めながら、内容は抜群に面白い。人喰い熊退治のため北海道に赴く青年と、それに惹かれるヒロインの物語。軽妙な文体でテンポよく読め、映画を観ているような楽しさがあります。
第7位:「肉体の学校」
ゲイ・バーの色男と、若き熟女たちのスキャンダラスな世界。まるで昭和の洒落た映画を観ているかのよう。読みやすく、エンタメ性も抜群の隠れた名作です。
第8位:「愛の渇き」
田舎の屋敷で鬱屈する未亡人の、若い使用人への倒錯した愛。抑圧された性と狂気を描いた本作は、短編ながらインパクト大。心理描写の鋭さに三島の真骨頂を感じます。
第9位:「仮面の告白」
三島の小説家デビュー作。自身の内面を強烈に投影した作品で、前半は文体も内容も濃密。後半はやや粗くなるものの、「日本文学の転換点」としての価値は不変。読むのに体力は要りますが、避けて通れない一作です。
第10位:「英霊の声」
2.26事件や特攻隊の霊を霊媒師が口寄せする中編。能のような語りと、ポルターガイスト現象を描いた怪異な世界。宗教的・演劇的要素が入り混じる、異色の作品です。
まとめ
ネットのランキングや感想は玉石混交。だからこそ、自分で読んだものだけを厳選して紹介したかった――そんな思いで作ったリストです。
ちなみに筆者は一時期、三島の自決映像を観たことをきっかけに「豊穣の海」四部作まで制覇。その後いったん熱が冷めましたが、彼の作品から受け取った日本語の美しさと力には、いまも感謝の念を抱いています。
この記事が、次に読む一冊を選ぶ参考になれば幸いです。
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