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疑似学術地帯

『抱朴子』と道教思想の核心|仙人・仙薬・不老不死の理想を探る

『抱朴子』の概要と道教思想中国古代哲学では、天地万物の根源としての「道」の考え方が老子・荘子に代表される道家思想として古くから語られてきたja.wikipedia.orgy-history.net。晋代の道教学者・葛洪(283~343年)が...
疑似学術地帯

 『碧巌録』を読む|禅語録とシュルレアリスム的思考の交差点に立つ

『碧巌録』全三巻読了後の学術的考察序論:『碧巌録』との出会いと読書動機岩波文庫版の『碧巌録』全三巻を半年ほどかけて読了した。『碧巌録』は宋代の禅僧・雪窦重顕(雲門宗4世)が古来の百則の公案を集め、『雪窦百則頌古』を編んだのち、圜悟克勤(臨済...
疑似学術地帯

谷崎潤一郎訳『源氏物語』「夕顔」巻を読む|幽玄と怪異が交錯する古典の美学

幽玄なる『夕顔』巻:谷崎潤一郎訳による美意識の継承序論平安文学の頂点たる『源氏物語』は、その幻想的な語り口と幽玄な美が今も人々を惹きつけてやまない。特に第四帖「夕顔」は、主人公光源氏と〈夕顔〉との儚い恋物語が夜の闇の中で悲劇的に結実する、い...
評論詐欺

舩坂弘『英霊の絶叫』レビュー|三島由紀夫と武士道の宗教性を描く戦争文学

舩坂弘『英霊の絶叫』レビュー|三島由紀夫と「武士道」の宗教性「武士道」という名の宗教日本人の「死生観」を宗教ではなく「武士道」に求めるのは、一見暴論のようでいて意外に的を射ている。葬儀では仏教に倣い、ハロウィンやクリスマスではキリスト教に倣...
評論詐欺

澁澤龍彦『快楽主義の哲学』レビュー|三島由紀夫・マンディアルグとの思想的交差点

澁澤龍彦『快楽主義の哲学』と奇妙な三角形澁澤龍彦(1928–1987)は、日本のフランス文学者にして評論家。晩年には小説も執筆した。世間の注目を集めた裁判沙汰の末、マルキ・ド・サドを翻訳・紹介した人物としても知られている。出会いと衝撃私が初...
小説の闘牛場

三島由紀夫『命売ります』レビュー|軽妙な仮面の下に武士道が見え隠れする小説

三島由紀夫『命売ります』レビュー|軽薄な仮面の裏に潜む“死”の思想三島由紀夫の小説『命売ります』は、いかにも彼らしいタイトルである。だがその内容は一見して驚くほどポップで読みやすく、文体も軽妙。発表媒体は1968年の「週刊プレイボーイ」──...
詩煩悩

『アントニーとクレオパトラ』あらすじと感想|愛に溺れた英雄と女王の悲劇

劇の続編:古代ローマの悪女この劇は『ジュリアス・シーザー』の続編に対応する。カエサルを失った後、マークス・アントニーはエジプト女王クレオパトラと恋に落ち、反応の波を呼ぶ。○『ジュリアス・シーザー』はこちら→ジュリアス・シーザー|古代ローマ、...
詩煩悩

ジュリアス・シーザー|古代ローマ、裏切りと亡霊の悲劇【シェイクスピア あらすじと感想】

作品概要『ジュリアス・シーザー』は、古代ローマの英雄カエサル(ガイウス・ユリウス・カエサル)の暗殺を描いたシェイクスピアの悲劇です。カエサルは軍人、政治家、文筆家として名高く、『ガリア戦記』の著者でもあります。史実では皇帝ではありませんが、...
詩煩悩

『リチャード三世』あらすじと感想|呪われた王と亡霊たちの復讐劇

作品概要シェイクスピアの『リチャード三世』は、もはや悲劇というよりホラー作品だ。不気味な外見と野心に満ちたグロスター公リチャードは、悪魔に取り憑かれたように冷酷な策略を次々と巡らせ、障害となる者を血に染めながら排除していく。この作品は史実に...
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コペルニクス『天体の回転について』第1巻を読む|地動説の哲学的出発点

コペルニクス『天体の回転について』岩波文庫版(第1巻)書評岩波文庫版と書誌情報ポーランドの天文学者ニコラウス・コペルニクスの『天体の回転について』は、もともと全6巻から成る大著である。しかし岩波文庫に収録されているのはその第1巻のみである。...