2018

評論

三島由紀夫【私の遍歴時代】青年が「文士」になるまでの赤裸々な回想録

自伝的評論のような作品「私の遍歴時代」は中公文庫版「太陽と鉄」に併録されている。セットでお得なうえ読み物としてもかなり面白い。 納得ある晩のこと、三島由紀夫の魂が黄泉から現れて、茶色くなった古本のページに印字された文字を通して「遍歴時代」の...
評論

澁澤龍彦【快楽主義の哲学】と奇妙な三角形

澁澤龍彦(1928ー1987)は日本のフランス文学者・評論家で晩年は小説も書いた。裁判沙汰にもなったマルキ・ド・サドの本を翻訳・紹介した人として知られる。出会い前半の場を借りて澁澤龍彦の本が読者の心にどういった作用を及ぼすかを、私個人を一例...
評論

三島由紀夫【太陽と鉄】内容と解説〜三島由紀夫による葉隠的作品

死の観念この作品は念のため2回読み終わった。それくらい三島氏の死の観念、美の理想、切腹の動機をあからさまに説明している。実は今澁澤龍彦氏の「快楽主義の哲学」も読んでおり、これを読んだあとに比較という形でレビューすべきかと思った。というのは両...
小説

三島由紀夫【音楽】「精神分析における女性の冷感症の一症例」〜について紹介

またすごい本を読んでしまった。たまたまかもしれないが読み終わった昨夜から眩暈・吐き気・耳鳴りがする。今後氏を三島由紀夫先生と呼びたいがそこは我慢しよう。手記 この長編小説はとある東京の精神分析医、汐見が綴った麗子という性的不能者の治療記録と...
小説

三島由紀夫・短編集【鍵のかかる部屋】を紹介〜禁断の少女愛への誘惑

少女愛この短編集は新潮文庫で出ているのだけれども、とても気に入った。買ってずっと持っていたくなる本である。まず表題作「鍵のかかる部屋」はまさかの少女愛の話だった。役所勤めのエリート青年・一雄がとある情事で人妻桐子の家に通うようになる。旦那が...