音楽

【ヒルデガルド・フォン・ビンゲン】CDレビュー・中世ヨーロッパ女性神秘主義者の曲

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ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは12世紀のドイツの女子修道院長、神秘主義者、作曲家である。今回はかの人の音楽について書こうと思う。

グレゴリオ聖歌との対照

グレゴリオ聖歌が好きな人はほぼ間違いなくビンゲンのヒルデガルドの音楽を気に入るだろう。グレゴリオ聖歌は映画だとロン・ハワード監督の「天使と悪魔」でローマ教皇の葬儀のBGMに用いられている。またデヴィッド・フィンチャー監督「ファイト・クラブ」で俳優エドワード・ノートンが胸の膨らんだ元ボディー・ビルダーのボブに抱きしめられ泣いているシーンでかかっている。

グレゴリオ聖歌の知名度は高いかもしれないがヒルデガルド・フォン・ビンゲンの音楽はもう一歩踏み込んだマニアックな領域である。中世音楽の影響を感じさせるバンドであるデッド・カン・ダンスやエニグマならTSUTAYAにもあるかもしれないが、ビンゲンはまず置いていない。曲的にはそんな感じである。と思ったらAmazonでもitunesでもあるらしいのでチェックしてみていただきたい。

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女子修道院長の幻視体験

彼女が処女だったのは疑いない、と私は勝手に思っている。ビンゲンの音楽は神の恩寵から受けるエクスタシーに充ちている。しかし彼女本人の幻視体験の最中意識ははっきりしており決して興奮状態などではなかったという。読んだことまではないがそれらの体験に基づく著作を残しており、まさに中世ヨーロッパ最大の才女である。主なものに「道を知れ」があるが、この書の完成まで教皇の執筆許可過程も含めて10年もかかっている。次回東京オリンピックの国立競技場ですら3年で出来上がるのに。

ビンゲンの歌はラテン語

電子音もギターも太鼓の音もない、ほぼ歌声のみーその音楽は12世紀の写本で受け継がれ現代はCDやYouTubeでも聴ける。癒し系に分類されるのかもしれないが、この音楽は生きる事にとことん絶望した疲れた魂を聖母マリアのような優しさと慈愛で包む。

ビンゲンの歌は全てラテン語である。ラテン語というのは古代ローマ帝国で話されていた言語で、中南米のラテン音楽のことではない。ローマ帝国崩壊後、国々とともに言葉も分裂し現在のスペイン語とかフランス語とかドイツ語とかになったのである。英語の文法のみヨーロッパでやけに単純なのは大陸が違ったからだろうか。中世ヨーロッパでは学術書や詩などは主にラテン語で書かれていた。デッド・カン・ダンスもエニグマも曲調はビンゲンぽいけれどもボーカルは英語である。それに対してヒルデガルド・フォン・ビンゲンは本物のラテン語ボーカルなのでその辺りがプリミティヴでたまらない魅力となっている。

ODRCD322 「ヒルデガルドのセクエンティア集」 メディヴァ(中世音楽アンサンブル)

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