"Da ignem igni, Mercurium Merucurio, et sufficit tibi."
加算
第4の”兄と妹の結合”にもニュアンスがやや似る。火には火を与え、水銀には水銀を与えよ。与えよ、と書いたが同じものに同じものを足すわけだから加算であって、加えよ、で良いのかもしれない。
水銀はギリシャ神話のパーソナリティーではヘルメスであり、ローマ神話のメルクリウスである。ヘルメスは神々の伝令、使者でもある。
君は満たされる、と書いたが君は満足する、飽き足りるで良いかもしれない。いつもながら意味不明だが、さて解釈と行こう。
【ATALANTA FUGIENS】「逃げるアタランテ」EMBLEMA IV.〜兄と妹を結合させ彼らに愛の杯を呑ませよ
同類
同類のものを養うのは同類のものである。例えば人の食べ物は肉か植物だけれども、鉱物は食物にならない。もし石を食って生きれる人がいたら、身体も石だろう。
アメコミのヒーローにそんなのがいたように思うが、あれは狂人の妄想なのでどうか忘れてもらいたい。
また火蜥蜴、サラマンダーという架空の生き物がいる。これもまた想像の産物である。しかし昔の人たちはアメリカ人がアメコミ・ヒーローが本当に存在すると思ってるように、サラマンダーもいると思っていた。
火蜥蜴は魚が水の中で生息するように火の中に住む。火に火を加える、とはサラマンダーが火の中に飛び込み、いよいよ水を得た魚のように燃え盛る様を思わせる。
水銀
問題は水銀である。水銀は元素周期表でもわかる通り唯一の液体金属で、ターミネーター2の敵もそのような体をしている。錬金術の作業ではヘルメスが最も重要な働きをし、またこの言葉は密封とか、秘密などの概念と緊密になっている。
水銀に水銀を加えよ、とは火に火を加えるのと同じく、加法により水銀の量が増えることを意味する。もしヘルメスが知識を象徴するならばの話だが、知識に知識を増し加えよ、との意味になる。
必然的に錬金術の知識は一般には隠されているから、秘密に秘密を増し加えて行け、という事になる。つまり秘密が大きくなり増えていくほど、君(2人称)は満足する、という結論になる。
火
まだ言うべきことがある。この場合の、火と水銀を混ぜ合わせてはならない、という暗示である。そうするならば君は法則を誤っているから、決して満足することはできない、という教えが含まれている。
火を、第8で述べた時のように性欲または情欲だとするならば、次のような意味になる;情欲には情欲を、知識には知識を加算せよ。さすれば君はどちらの望みも満たされる。
よってこの章の究極は、異質のものを分離せよ、との奥義となる。例の如くかなり適当だが、ご静聴有難う。この調子でプレート全50枚を網羅するつもりだ。
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