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【エドガー・アラン・ポー】「ナンタケット島出身アーサー・ゴードン・ピムの物語」感想・紹介(1)

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このポーの小説は長編作品と呼べるヴォリュームがある。300ページ近いがその面白さは圧倒的である。

短編小説が多い中でこの”アーサー・ゴードン・ピム”のような作品は珍しい。他に長めの小説として「ジューリアス・ロドマンの日記」約100ページがある。

船による航海の冒険という内容であるが、18世紀あたりの危険な海の物語である。しかも最初から最後まで極限状態の生死の境目を書いているので、明るく楽しいイメージはほとんどない。

さてそれではいったいどういった内容なのか。

あらすじ

グランプス号の船長の息子オーガスタスとアーサー氏は学校時代に親しい友達になり、アーサー氏の航海に対する憧れを焚きつけた。やがてアーサーは家族の反対を押し切ってグランプス号に潜り込むのである。

前日談として二人の酒飲みの馬鹿騒ぎが載っている。へべれけに酔っ払った二人は夜中に跳ね起きて嵐の海になぜか船出する。案の定船は遭難しかけ別の大きめの船に衝突して壊れてしまう。

運良く船員に助けられた二人だが一つ間違えば死んでいただろう。

暴動発生

変装してグランプス号に潜り込み、オーガスタスの助けでしばらくは隠れていることにしたアーサー。だが早速小説は恐怖と血みどろの展開になる。つまり船長であるオーガスタスの父は一等航海士と黒人の料理人たちによって暴動を起こされ船の主権を奪われた。

次々に首をはねられ海に投げ込まれる死体。だが反乱軍は疲れていったん処刑を中断し、また酒盛りを始めた。オーガスタスはなんとか命をとりとめ、他にダーク・ピーターズなるインディアンの混血の男と意気投合した。

ダーク・ピーターズは背が低いが恐ろしく怪力の頼りになる仲間であり、結局この小説の最後まで生き残るのはアーサー氏とピーターズだけなのだ。ピーターズ、オーガスタスは手を組んで反乱軍どもを一掃する計画を立てた。

逆襲計画

だがもたもたしてもいられなかった。なぜなら3日も隠れていれば良いだけの補給品しかない地下の船倉に、アーサー氏は二週間以上も放置されていたからだ。有毒ガスと水と食べ物の不足で彼はもう死なんばかりであった。

様子を見に来たオーガスタスの呼びかけにより、なんとか一命をとりとめたアーサー氏。3人はある方法を思いつく。それはその存在がまだ知られていないアーサーを今朝死んだばかりの死体に見せかけ、死人が生き返ったふりをし驚かせようというものだった。

反乱軍の首領の一等航海士や黒人も迷信に弱かったので、これは良い考えだと思われた。運良くその夜は嵐で、死体は物凄い形相をし腹と手足が異常に膨れ上がっていた。その姿そっくりに化けると、アーサーは一味のたむろする船室に突っ立った。

*以下次回に続く→【エドガー・アラン・ポー】「ナンタケット島出身アーサー・ゴードン・ピムの物語」感想・紹介(2)

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