The Fable【第1章】アナーキー神話小説|ゼウス、牢獄、そしてドラゴンの黙示録

オリジナル

The Fable — アベイドネゲード・メローパ・スイモングマン

他人が書いた物をただ延々と読む──それもいい。 だが、それらは”他人が”書いたものだ。

同じ人間である以上、私にも書けるはずだ。 人間という種族は、書く。創る。 それを本能的に欲する存在なのだ。

そんな思いから、オリジナル作品の公開を試みる。 場所は、あえてこのブログの延長線上に。

試験的な第一回目──たっぷりとご覧あれ。 😀

ゼウス — 回転する神

恐るべきゼウスは、北緯38度の天頂に座していた。 齢──七五兆二三〇〇億八七〇〇万五五五〇歳。

その左右には、多くの妻たちのうち、 右に十八歳のレロンシ(妻No.100)、 左に十四歳のイオカステネーロ(妻No.5)が侍っていた。

ゼウスの玉座は、地球からアッブダ地獄とニラッブダ地獄の距離ほど離れており、 宇宙空間には翼を持ったヒトコブラクダたちがさまよっていた。

彼の玉座には、トヨタ製の自動車ハンドルに似たステアリングが突き出していた。 ゼウスがこのハンドルを1回転させるたび、地球も1回自転した。

「殿、いい加減、ハンドルを回すのも飽きたでしょう?」 レロンシが甘く囁く。

「婚姻の褥へ参りましょうよ。」

ゼウスは笑った。 「だがレロンシよ、我らが快楽に耽る間、ハンドルを握る者が必要なのだ(笑)」

ハンドル — 酔いどれ神の息子

そこに現れたのが、胸元をはだけ、ワインを滴らせた息子── ヨーハート・メグルノス・セバだった。

「父上!」

「見ての通り、私はしたたかに酔っております。 東京の崇拝者から贈られた焼き鳥が、あまりにも美味すぎて。」

ゼウスは笑った。

「構わぬ。我ら神に、人間の律法など無意味だ。」

「しかし、安全運転は大事ですよ。」 息子はしゃっくり混じりに答えた。

問答無用。 ヨーハート・セバはハンドルを握らされ、 父と二人の妻は快楽の部屋へ消えた。

一人残された息子は、ふてくされながらハンドルを握る。

「ああ、奴ら人間ども、誰のおかげで日が昇り、夜が来ると思っているんだ?」

牢獄 — 鉄の丸天井の下で

ふと、彼はハンドルから手を離した。

宇宙ではヒトコブラクダたちが青ざめ、地球では異変が起こる。

暗黒の牢獄。 そこで、ひとりの青年──デンマーク生まれ、住所不定、無職、 ボゲンビゲン・ビドゥン──が鉄の丸天井を見上げ、頭をかきむしっていた。

裁判も収容も一瞬。 気づけばこの錆びた半球型の監獄に囚われていた。

「ああ、なんで俺は骨と肉でできているんだ! 骨でも肉でもない部分が、どこかにあるはずなのに!」

ドラゴン — 破壊の怨念

実はこの青年こそ、かつて神だったヨーハート・セバ。 ゼウスの怒りを買い、罰として人間として転生させられたのだった。

彼の怨念は、大西洋ほどの大きさのドラゴンを生み、 地上の骨と肉を貪り尽くした。

その混乱の中、中国大陸の水が割れ、 新たな島国「日本」が姿を現した。

茸 — 新生の蠢き

日本ではシダ植物から茸が生え、 茸から松茸、 松茸からパーシー、 パーシーからガナ、 ガナからアッブダ、 アッブダからアババとアハハが生まれた。

アハハ──救世主。 名をメロンゾニッド・アベイスカハーン・メロスコソイニッドという。

13歳にして、ゼウスの妻No.123、ペーネロペーとの交わりを成就。

豚どもに囲まれながら彼は悟った。

「こいつら、餌食ってクソするだけだ。 ゼウスにどう言い訳するつもりだ?」

豚どもは高らかに笑った。

祈願 — 鋼鉄の牢獄を超えて

絶望の中、ボゲンビゲン・ビドゥンは祈願した。

「父よ、我を解き放て。 この骨と肉の身体を脱ぎ捨て、 鋼鉄の牢獄から逃れさせたまえ。」

祈りとともに、彼はズボンを下ろした。

巨大な松茸が天井へとそそり立ち、 そこから稲妻がほとばしる。

地上では地震と津波が起こった。

やがて彼の身体は乾き、蛹となった。 七色の虹が蛹から立ち昇り、ゼウスの玉座にまで届く。

そして── ボゲンビゲン・ビドゥンを見た者は、二度といなかった。

for the Experience, God, Aion, Kosmos, Time, Coming-to-be.

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