天体観測 日常

風流【中秋の名月】9月13日 今年は満月に1日少ない月齢14 その夜に何をするか

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夜空の報告

まずは軽く北緯38度付近日本の宮城県仙台市における、この夏の夜空の観測状況を伝えたい。昼は雲が遮り太陽はほぼ照らず夜は曇りで星は光らず。以上。あたかも黙示録のように地上の人々の行いを恥じた天体が顔を背けたような8月であった。

そのようなわけで夏の星座および惑星の動きはあまり学べなかった。しかし9月に入りやっと空が澄みはじめ夜明けなんかも爽やかになってきた。昨夜木星は太陽と地球が公転軌道上東側に直角になる、東矩を迎えその下方では蠍座の一等星アンタレスが赤々と瞬いていた。

アンタレス上方ではへびつかい座が、黄道上東には土星が射手座のなかで小さく陰鬱な光を投げかけその間に満月に近づきつつある月が、秋の雲間を流れる。昆虫たちは一斉に短い夏の命を賛美し声をそろえて歌い、汚れない夜明けが人々の労働を嘲笑いながら陽気に夜の闇を払う。

中秋の名月とは

「中秋の名月」について語るには日本の”旧暦”というものをまず知らなくてはならない。暦というものは地域や時代、民族固有であり相対的なもの。現代世界共通で採用されている”グレゴリオ暦”が日本にも適用される前は”旧暦”が月を数えていた。

それによると大体グレゴリオ暦は一ヶ月進んでおり、旧暦の7月は今の8月であり8月は今の9月というわけだ。そのような次第で七夕は本来の意味だと7月7日なのになんで8月7日にお祭りが催されるのかもわかる。旧暦の七夕を伝統的七夕というそうな。

そして旧暦では7月8月9月の3ヶ月を秋と呼んでいたそうである。すなわち今の8月9月10月だ。中秋とは秋のど真ん中の9月15日を指す。たまたま2019年は満月から1日少ない月齢14の晩に当たっている。

すなわち中秋の名月は9月13日で、翌日の満月は今年最遠つまり一番小さい満月が見られる。ちなみにかぐや姫が帰るのも中秋の名月だそうだ。

七夕について

七夕ついでに述べると、夏には夏の大三角形と呼ばれる非常に目立つ3つの星が天頂に登り回転している。こと座のヴェガ、白鳥座デネヴ、鷲座アルタイル。七夕とは織姫(ヴェガ)と彦星(アルタイル)の間を流れる天の川を、月齢6の三日月が渡り橋渡しをしているように見える現象をいう。

七夕の報告が遅くなってしまったが、天文現象に目を向けることなくアーケードの屋台や人混みをもって七夕と思い込んでいる人々は(私もそうだったが)無知以外のなんであろうか。

天体観測手帳

このように七夕がなんらかの天体現象に基づいているのに対し、「中秋の名月」の方は単なる気分・風流に過ぎないような感がある。しかし昔の日本人らしくこの風流なるものを一応味わいたいと思ってしまう。

で8月15日の夜何をしようか?団子を食べるとかは違う気がするし。おそらく風流とは行為ではなく、感じるものなのであろう。などと適当なことを言ってこの記事を終わろう。

ちなみに今回の記事は技術評論社「天体観測手帳2019」に多くを寄っている。この本は手帳形式でその年の日々と月ごとの天文現象をカラー図版で網羅し、「理科年表」よりは詳しくないかもしれないが気軽に手に取りやすい一冊である。

●参考→【天体観測】初めての「天体望遠鏡」を購入〜”ファースト・ライト”記念

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