初めての双眼鏡
まずはスコープテック社の天体望遠鏡に付いている”星空観察ガイド”からの引用を;「双眼鏡は望遠鏡に比べ倍率は低いのですが、視野が大きく、広い範囲を一度に見ることができ(略)、肉眼では見えない暗い星も見えてきますし(略)、低倍率で視界が広い双眼鏡で見て初めてその美しさがわかります」
「倍率が高いほどよく見えて高級な双眼鏡や望遠鏡だと思っている人がいますが、大きな間違いです。」「倍率が6〜10倍、口径が30〜50mm程度の双眼鏡が星空観察に向いています」
以上の記述を参考に筆者はKenkoの8x42 ポロプリズム式 8倍 口径42mmの製品を購入した。<参考商品リンク⏬>
数ある製品の中からこれを選んだのは、価格がリーズナブルで初心者に似つかわしく、”星空観察ガイド”で紹介されている高価な他社機種に似ていたからである。今回はこの双眼鏡を使った天体観測の体験レビューである。
いざ野外へ
考えて見ると双眼鏡の使い方もよくわかっていないことがわかり、まずは説明書との格闘だった;各部の名称とピント合わせ・手入れなど。最初手間取ったが無事ピントも合わせられてついに星を双眼鏡で見たのが1月7日である。
動き回る鳥などでピントを合わせるより、星を見るのが目的なのならば初めから金星などでピントを合わせてしまった方が早い。以後筆者の双眼鏡は目幅も変えないように気をつけているし、右目の視度調整は一切触っていない。
冬は寒いので部屋の窓を開けたくないため、望遠鏡はずっと仕舞っている。で、東北の厳しい冬にもバッチリと星空は姿を見せてくれるから、夜中や早朝に目が覚めた時など、吹きすさぶ風のかなたに浄らかな星座が鎮座しているのを見ると不思議な気持ちになる。
地上は雪と氷に覆われて生命は死に瀕しているのに、全く関係ない領域で季節に関係なく輝く星たち。この第8天つまり古代人が恒星天と呼んだ天界とその下の7つの天界を肉眼で見るのに、「双眼鏡」がとても助けになる。
古代に比べれば人間の生命力も衰え、夜空も暗く、とても彼らが見ていたような星座は見ることができない。しかし現代にはその代わり彼らが持たなかったテクノロジーがある;それを補うのが”眼鏡”や「双眼鏡」なのだ。
双眼鏡の良さ
「双眼鏡」で星座を見ると、肉眼では見えなかった明るい星と星の間のたくさんの星も見えるのである;シュノーケリングで水の中の魚を見るのに似ている。この初めての体験は言葉では表せない。望遠鏡の良いところは何なのだろうと考えさせられるくらい、双眼鏡を使った天体観測は素晴らしい。
眼鏡を外し、首にストラップで下げて見たい方向にさっと素早く向けられる手軽さ。肉眼→双眼鏡と、両方の特性を活かした観察;すなわち眼鏡を外して見える星は大きくて明るい星だけだから、それらは星空での足がかりとなる。
双眼鏡を使い終わったら眼鏡をかけて通常の観測に戻る。このフットワークの軽さ。いまは星空の中で迷子のような状態だが、これがあれば2019年中に星座がすべて覚えられるような気がする。