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【菅原道真】王丸勇・著〜紹介〜天神を知るために私の入門書となった本

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こちらは私が10歳の頃1980年(昭和55年)金剛出版から、福岡の精神医学者の本、その名はズバリ『菅原道真』である。福岡出身者には夢野久作もおり、wikiによれば二人は『ドグラ・マグラ』の創作過程でちょっとした繋がりがあるという。

こんな記載から強い興味を持ち、菅原道真を知るための最初の本をリサーチしていた私は、この人のにすることに決めた。面白そうだからである。事物を知ろうとするときには、教科書通りとか万人が通る一般道より、変わった入口をくぐる方が楽しい。

天神

高校以来日本史の勉強をやめ、日本美術はおろか古典文学すら一切離れていた私であった。しかし中学では真面目に学習したせいもあって、義務教育の知識は脳髄に食い込んでおり、機会があると古い記憶から浮き上がってくる。

そんな中、日本の歴史特に古典の世界に非常に興味が湧くようになったのはなぜか。ビアズレー、ファインマン物理学、そして何よりも夜田舎でクワッと鳴く五位鷺である。この鳥の怪しい鳴き声が私を平安時代へと呼んだのだ。

ビアズレーは日本の浮世絵から強い影響を受けていて、その目で江戸時代の絵画を見るととても素晴らしいもののように感じた。続いて狩野派とか水墨画など、さらに建築や武具など、日本美術は大判小判がざっくざくと出てくる宝庫のように思えた。

ファインマン物理学には1045年に超新星爆発を記録した文献が、世界に中国と日本にしかないことが書かれている。『明月記』である。またわざと完成させず柱を逆さにする陽明門の美しさについても。こうして平安時代に関する私の関心はますます強くなった。

そして五位鷺の名前の不思議な由来。この鳥に五位を授けた醍醐天皇は、道真没後様々な手段で鎮魂を行ったにも関わらず清涼殿落雷のダメージで崩御された。これにより菅原道真は天神として決定的な神格化がされ、怖れ敬われることになる。

学問

天神様、学問の神様として知られる菅原道真は一体どのような人物だったのか。その魔界のような平安時代に、実際にどのようなことがあったのか。私は熱狂的関心を持ち本を読んだ。

ちょうど『枕草子』と『古今和歌集』を読むために古語辞典も持っていたから、それを参照したり、ネットで調べたり。引けば引くほどに日本の歴史というものの神秘さが私を虜にした。自分はなんというすごい国に生きているのだろう、そう思われた。

精神医学書とはいえ専門分野らしい記載はおそらく7から8分の1くらいである。以外はすべて道真の伝記か天神信仰について書かれているから、非常に有益な本であると言えよう。かなり私の知識欲を満たしてくれたことに変わりはない。

内容

本には『菅家文草・菅家後集 』からの転載が多数載っており、道真本人の作品を読みたいという要望にも答える。これは古書店で相場7、8千円で売っている。漢文を読む根性のある人は買ってみると良い。

また神社と神道研究会編 『菅原道真事典』は、相場1万円と高価な上、県立図書館で閲覧したが神社関係者向けのようである。であるので数ある道真本の中でも私は当たりを引いたものと思っている。

昭和55年出版という適度に古いのも味があって良い。現代の軽薄さに汚されておらず、かつ古過ぎて読みずらいということもない。従って、この本は古書で約1700円、良い買い物をしたと言うべきであろう。

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