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映画【百円の恋】感想〜チープな恋物語から”ロッキー”へ突然の展開

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2014年公開映画『百円の恋』のレビューと感想 😎 

安藤サクラ

観終わるや「ここ最近、俺は何かを一生懸命やっただろうか」「死に物狂いで戦ったことがあるだろうか」なんて青臭い自問自答をしてしまう。ごくたまにそのような道徳上有意義な作品に出会うことがあるものだ。

引きこもり女役の安藤サクラさんは『万引き家族』でも名演技を見せていたが、ここでもいい味を出している。ボサボサ頭で小学生と部屋でゲームしながらブヨブヨの尻を掻く様は色気のかけらもない。しかし『万引き家族』でもそうだったようにどこかエロく、次第に可愛らしくなっていくのが不思議だ。

女性版リリー・フランキーとでも言おうか;そんなわけでこの作品もエロいシーンが含まれているためか、Rー15指定となっている。

弁当屋

あらすじ的には妹と弁当屋の仕事のことで喧嘩し、切れて家を追い出された引きこもり女が行き当たりばったりに通いつけのコンビニみたいな100円ショップでアルバイトを始める。住居はどこそこの木造のガサアパート。

台所ともう一間があり木造の柱が見える真壁の和室、壁は白い漆喰塗りそして床は畳である。そこで女は100均のヨガマットみたいなものを敷布団にし、同じく100均の枕で寝ている。

100均

実家の弁当屋と百円ショップの途中にボクシンング・ジムがあり、そこで練習している男に安藤サクラは気がある。よく立ち止まってのぞいていたが、男は練習の合間に外に出てタバコを吸うのである。ボクサーが煙草を吸ったら弱くなると思うのだが。

ある晩同じように彼を見ていると男の方から声をかけられ、二人は動物園に行く。一応安藤サクラも100均の勝負下着を新調した。

ボクシング・ジム

職場はこの世の闇の底のようなショップ;従って人間関係も闇の底。浮浪者が惣菜の廃棄品を時々漁りにやってくる。ボクサーは店でバナナばかり買うため”バナナマン”と呼ばれていた。ボクサーがレジでゲロを吐いてこれを介抱するうち二人は同棲を始めるが、すぐに続かなくなり男はふらっと出ていく。

女の中に溜まった色々なモヤモヤが爆発し、安藤サクラは男が通っていたボクシング・ジムに入る。ここから突然映画は『ロッキー』みたくなるが、プロテストにギリギリ32才で受かっても、試合でボロクソに打ちのめされる。

試合を観ていた男と外で出くわすが、女はただ悔しくて泣くばかりだ;終いに二人はやっと手をつないで夜の場末の街並みに消える。

まとめ

観終わると腹の底から湧いてくる”力”や”勇気”を覚える作品。しかしこういう衝動は二十歳前後の若者にこそふさわしいと思われ、映画の中のように30過ぎても社会のアンダー・グラウンドにいるのは実際もっとやり切れないだろう。

”ハングリー精神”というものは若者にふさわしく、何か世界を変える爆発力があるとすればそれは若者にしかないのだ。スマホとSNSに夢中になってないで、彼らにはもう少し”かっこいい”生き方をして欲しいと望む。おじさんにはもう無理だから 😉 

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