映画【百円の恋】感想・レビュー|R-15指定の愛と格闘の成長物語

視聴覚の墓場

映画『百円の恋』感想〜チープな恋物語から“ロッキー”へ突然の展開

2014年公開映画『百円の恋』のレビューと感想です 😎

安藤サクラの魂の演技

観終わった瞬間、自分の中に問いが湧き上がる――「何かを本気でやったことがあるか?」「一度でも死に物狂いで戦ったことがあるか?」。そんな内省を誘う作品です。

安藤サクラは『万引き家族』でも光る存在感を放ちましたが、本作でも一貫してリアルで、汚れた人間味を丁寧に演じ切っています。序盤は色気も何もない冴えない引きこもり女ですが、次第にその“泥臭い可愛さ”が滲み出してくる。不思議な魅力です。

転機は百円ショップ

妹と弁当屋の仕事を巡って衝突し、家を飛び出した主人公。一人暮らしを始め、百円ショップで働き始めます。住居は典型的な古アパート。畳と柱が剥き出しの和室にヨガマットと100均枕という暮らしぶりが哀愁とリアリティを帯びています。

“バナナマン”との恋と別れ

道すがら目にするボクシングジム。練習に励む男に淡い想いを抱いた主人公は、ある夜声をかけられ、ぎこちないデートを重ねます。やがてふたりは同棲を始めるも、男はあっけなく出て行く――。

ボクシングで蘇る人生

喪失の衝動を胸に、彼女はボクシングを始める決意をします。物語はここから一気にスポ根映画のような熱を帯びていく。プロテストに滑り込み、試合で敗北するも、観客として現れた元恋人の前で拳を振るう姿は痛烈なまでに生きていました。

まとめ|“負けてもいい”という生き方

この映画は、勝ち負けや成功の話ではありません。腹の底から湧き上がる“衝動”や“熱”こそがテーマです。30代を過ぎても“人生を始められる”というメッセージは、特に若者へ向けた強い希望にも思えます。

「ハングリー精神」は、きっと世界を変える。そんな願いを込めたような作品です。

百円の恋

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