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【ワーグナー】『ベートーベン』思索する芸術家によるベートーベン論

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ワーグナー

皆さんご存知だろうか、あのワーグナー、哲学者ニーチェや詩人のボードレールなども心酔し、ビアズレーの絵"wagneriennes"なのでも知られるように一世を風靡しかつ、現在も偉大な芸術として伝わるその音楽の創造者、ワーグナーがベートーベンについて本を書いていることを。『ベートーベン』がそれである。

自ら思索する芸時術家と名乗ったように、まるで哲学書のような内容で別に音楽の専門知識がなくとも面白く読める。

法政大学出版局のこの本には『ベートーヴェン』以外にも第九交響曲についての作曲家ならではの専門的論文もあるから、ベートーベンについての哲学的音楽的認識のどちらも学ぶことができる。

ロマン・ロランの『ベートーベンの生涯』では物足りないと感じた方も、こっちでは圧倒的ボリュームにむしろ辟易するかもしれない。

師匠

ワーグナーの音楽は今でこそアクション映画のBGMのように聞こえるが、当時は”新しい音楽”とか”未来の音楽”などと呼ばれた。そのワーグナーのいわば師匠がベートーベンなのである。

ボードレールが「さて、今夜はどこに行けばワーグナーが聞けるだろうか」とか「もし今ワーグナーが聞けたなら、もっと勇気ある行動ができるだろうに」とか書くほどに愛し、死の病床では友人が元気付けるために演奏してあげたほどである。

ベートーベンの第九交響曲がワーグナー音楽の真髄を形成したと言っても良いくらいに、第九はワーグナーっぽい。知らない人のために書くと「ダイ・ハード」の金庫破りでかかるあの曲である。

ヘッドフォン

ベートーベンを真剣になって聞くために買ったヘッドフォンはこれである。

値段もそれなりで性能も素晴らしい。クラシック向けのヘッドフォンはオープン型が良いとどこかで読んだのだった。確かに外の鳥の囀りが聞こえるほどで、開放性は高い。しかし耳の穴に埋め込むタイプのとはちょっと違う、のびのびした音を味わえる。

アンプがなくともこのタイプは見てわかる通り頭蓋骨にも振動が伝わる。だから無理に大音量を求めるまでもない。これでベートーベンを聞き続けると、ただでさえど迫力の曲が脳を溶かしてしまう。

デス・メタル

ベートーベンはドイツの人だからクラシックとはいえどこか現代のデス・メタルとかグラインド・コアの乗りを想起させる。それがベートーベンなのだ。好い例はワーグナーも勧めている『コリオラン序曲』だろう。

また第九の1楽章や2楽章や4楽章のはじめなど、荒々しい爆音はどこから見ても現代のメタルのスピリットである。はるかの昔に周囲を完全に無視して自分の世界を追求した、ベートーベンの芸術家としての強靭な意思には敬服せざるを得ない。

クラシック・エディターが動かなくなってブロック・エディターで書いているので慣れないところもあるかと思う。もうしばらく容赦願いたい。

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