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【マンク】〜修道僧が悪魔と契約・少女を陵辱〜M・G・ルイス作ゴシック小説紹介(1)

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🌟なかなか面白い作品なのにあまりにも人々に知られていない。買うには古書で高額。なのであらすじ・ストーリーを<3回>にわたり、かなり詳しく紹介していく。

この小説は高い評判の有名な修道僧が肉欲に狂い、終いには悪魔と契約して破滅する恐怖のロマンスである。

💀「目をよく開いて、よく考えて見なさいよ。どうせあなたは地獄へ落ちるのよ。永遠の地獄に落ちることになっている」ー『マンク』第三巻第5章

作品概要

『マンク』はイギリスの小説家マシュー・グレゴリー・ルイスによる1796年の作品で、「オトラントの城」「ヴァテック」などとともにゴシック小説に分類される。「マンク・破戒僧」なる映画も2011年に公開されているが、この記事は原作の内容紹介・レビュー。

全体として悪魔・幽霊といった超自然の現象が魔法・妖術などの中性的迷信とともに描かれている。極めて暗黒文学の色が濃く、第三巻あたりになると暗闇と不気味な恐怖に真っ向から立ち向かい戯れるエドガー・アラン・ポー的世界になっている。

この本が出たのは氏の生まれる前であるから、エドガー・アラン・ポーの方が影響を受けているのだろう。全般的にポーは暗いもの・じめじめしたもの・不気味なものを題材として好むが、『マンク』の影響が濃いものとして「陥し穴と振り子」がある。

●「陥し穴と振り子」→【エドガー・アラン・ポー】「陥し穴と振り子」〜ソリッド・シチュエーション・ホラー的短編を紹介

あらすじ

マドリッドの高名な修道院長であるアンブロシオは、その巧みな論述と端麗な容姿によって民衆から絶大な人気を得ていた。彼の教会での説教はいつも入りきれぬほど満杯になり、神の使いとして語る言葉に誰もが感動させられるのだった。だが彼の心には高慢・虚栄の影が指し、あらゆる現生の誘惑から遠ざかった修道院にいてもそれからは逃げられなかった。

さらにアンブロシオは物心もつかない幼い頃に捨てられていたのを教会が引き取った子だったので、その高い徳は無知の果実と言って良かった。もちろん童貞だった。ただ単に今までは誘惑に合ったことがないというだけで、彼の美徳というものは極めて弱い城壁で守られているにすぎなかった。

2つの物語

この作品は二つの物語が時系列で同時進行する。ひとつはアンブロシオの罪への誘惑と犯罪、もうひとつはアグネスという名の女性の恋と苦難である。二つの物語は最後に同じ場所で出会い激突するのだが、そんなにややこしくはない構成。

血まみれの尼僧

アグネスは周りの親から修道院に入るよう促されており、その意向に忠実に従うつもりだった。システルナス侯爵と恋に落ちるまでは。二人が出会った城では「血まみれの尼僧」の幽霊が出る伝説があった。周囲の圧力に屈し侯爵はアグネスを城から連れ出す計画を立てる。むしろそれを考えたのは彼女の方だった。

つまり幽霊の出る日の5月5日の午前1時に血まみれの尼僧の変装をし、城から堂々と出るという手筈だった。侯爵は馬車を近くの洞窟の隠して時を待った。だが時間通り来た尼僧を馬車に乗せて走ったはいいが、それは本物の幽霊だった!

馬車は事故を起こし侯爵は大怪我をした。アグネスは何が起こったのかも分からないまま修道院へ入れられた。しかもその日から取り憑いた幽霊が毎晩現れるようになって、侯爵の命は削られて行く。

彷徨えるユダ

取り憑いた幽霊を祓い侯爵の命を救うことができたのは「彷徨えるユダ」と呼ばれる不思議な男だった。彼は霊視により幽霊の存在を知り、額に刻み込まれた燃える十字架のマークで幽霊を退散した。幽霊は自分の骨が成仏せずあの洞窟に眠っているから、ちゃんと埋葬して祈りのミサを3回あげてくれと頼んだ。

●続きはこちら→【マンク】〜修道僧が悪魔と契約・少女を陵辱〜M・G・ルイス作ゴシック小説紹介(2)

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