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【エドガー・アラン・ポー】短編「ちんば蛙あるいは鎖がれた八匹のオランウータン」〜道化師の復讐

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エドガー・アラン・ポー短編「ちんば蛙あるいは鎖がれた八匹のオランウータン」"Hop-Frog"(原題)の紹介。

冗談国王

冗談大好き国王と7人の大臣たち、この冗談国家で”ちんば蛙”と呼ばれた小人は宮廷で笑いを取るために重要な役を果たしていた。戦利品として連れてこられた小人にはもう一人の小人、美しい少女のなりをしたトリペッタという親友がいた。

ちんば蛙はびっこで跳躍と蛇行の中間という歩き方しか出来ず、その萎縮した脚力に反してホラー映画”バスケット・ケース”に出てくる怪物のように、異常に腕力が発達していて何にでも安々とよじ登ることができた。トリペッタはちっちゃいが美しく優雅で、ちんば蛙のことをいつも思いやっていた。

仮想舞踏会

そんななか冗談国王は仮想舞踏会を計画したが、王と7人の大臣の装いのみまだ決まっていなかった。頭を悩ました王らはついにちんば蛙に決めてもらおうということにした。これも一種の冗談として立派な考えだった。

ところが謁見したちんば蛙に王はふざけて酒を飲ました。小人は飲めなかったのである。いやその小さな身体はとても一般の人間のアルコール量を消費できるものではなかったろう。ゲーム・オブ・スローンズの俳優を思い出してほしい。

王の酒杯

一杯目はなんとか飲み干したが王はさらに2杯目を突き出した。これもやはり悪ふざけであった!ちんば蛙は絶対にもう飲めなかった。王は怒りで顔が紫色に変わった。優しいトリペッタが大胆に親友のために進み出て、なんとかちんば蛙を許してやってほしい、と王に頼んだのだ。

王はあまりの大胆さにいっ時呆然としたが、すぐに我の怒りに立ち返るやトリペッタの小さな身体を突き飛ばし、掲げていた酒を浴びせた。その時部屋の四隅から異様な、古い扉の蝶番が軋るような音がした。騎士道に誓って今のはお前の歯ギシリだろうと、王はちんば蛙に言った。

鸚鵡

大臣たちは今のは外の鸚鵡が鳴いたのだと冗談を言い、ちんばはニヤリと笑って自分の見事な歯並びを見せた。王は納得した。ちんば蛙はトリッペッタが侮辱された途端急に酒など一滴も飲んでいないかのように冷静になり、思いつきを述べた。

「仮想はオランウータンというのはどうでしょう?これは8人人組でなければならないのです。そしてご婦人方を必ずや驚かせることでしょう」王たちは気に入った。8人はちんば蛙の勧めにしたがってタールと麻糸で装った。どこから見ても獣だった。

処刑

彼らは捕まえられたふりをして舞踏会場内に入ってきた、というかなだれ込んできた。なぜなら鎖で円形に繋ぎ止められていたから、まともには歩けなかったのだ。人々は逃げ惑い、武器を探したが王があらかじめ武器類を持ち込み禁止にしていた。

しかもちんば蛙は会場の扉に鍵をかけてしまい皆は閉じ込められた。ちんば蛙は普段シャンデリア(ろうそく用の)が吊り下げられている丸天井の中央に垂れていた鎖に、オランウータンたちを結びつけた。鎖はまず手の届かない高さまで上がった。

そしてトリペッタが侮辱された時に聞こえていたあの唸るような音がした。それはちんば蛙の歯の間から出てきていた。外で待機していたトリペッタにもう一度鎖を引き揚げさせると「これが俺の道化の最終回だ!」と叫び、8匹の猿どもに火を放った。

天井高く釣り上げられた王と7人の大臣らはタールと麻糸という起爆剤によって一瞬で火だるまとなり、ひとつの焼け焦げた塊となっていた。小人は鎖をよじ登ると美しいトリペッタと共に祖国へ逃げのび、2度と姿を現さなかった。

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