※本稿は、骨・肉・スピリットの三位的構造と、それに付随する言語機能の崩壊過程を考察対象とし、Hermes-Metatron-Invisible-Darknessを語り手とする寓意的対話形式を通して、グノーシス派思想におけるプルローマ崩壊とデミウルゴス的生成、および存在論的断絶の再解釈を試みることを目的とする。
本試論は、象徴的表現を用いながらも、根源的堕落と救済の位相を哲学的視座から再構成する一助と なることを意図している※
Hermes-Metatron-Invisible-Darkness spoke unto me:
Flesh
子よ、生き物のからだは、骨と肉から成る。人も獣も同じである。
──では、骨と肉とは何か。
わかりません。ただ、骨と肉、それぞれに「名」が与えられたことは知っています。そして、死すべきものは、骨と肉からなる体を持つがゆえに、食らい、食われ、腐り、燃え、切られる運命を負うのです。骨と肉は分解される存在だからです。それは、骨と肉を創造した者の定めた掟です。
よくぞ答えた。 では、子よ、問おう。 骨と肉というエッセンスを細工した者は、さらに他のエッセンスも作ったと考えられないか。
考えられます。肉も骨も、それが何であるか本質を知らない者にとっては、ただ不可思議な構成物にすぎません。ならば、なお未知のエッセンスも存在し、未知の名を持つ、骨や肉に似た別種の要素から成る体や生き物が存在することも、十分に考えられます。
Spirit
子よ、スピリットがあるのがわかるか。
はい、父よ。 しかしそれは、人間たちには可視ではないため、あたかも存在しないかのように扱われています。彼らは一種のスピリットに常に浸されていて、他のスピリットを知らないがゆえに、感じることができないのです。
一方は穢れ、一方は清め。 一方は脆弱、一方は強靭。 私は、スピリットの存在を知っています。
もしスピリットが黄色いなら、人は黄色しか知らず、それを認識しないでしょう。しかし、そこに別の色のスピリットが割り込んできたとき、人は初めて疑問を抱くでしょう。
──子よ、お前が黄色と呼ぶスピリットは、何をなしているか。
それは人間たちを欺き、殺そうとしています。それは、深く暗い場所から這い上がってきたように見えます。それは憎しみに満ち、自暴自棄で、無謀です。
HMID
Hermes-Metatron-Invisible-Darknessは言った:
創造への信念は、固定観念の誤謬である。
真実は、嘘である──それは待っている。
感覚は、破れようとする井戸である。
重石は、障害者の首飾り。
手拭いは、子供の爆弾。
淡く儚い夢。乙女の産毛。
Prière
そして彼は、静かに人々から身を引いた。
「WITHDRAW(退く)」とは、「引く」であり、「ドン引き」ではない。
「ドン引き」は言語にあらず。 それこそが、真の”WITHDRAW”である。
──汝らは言葉を失った。 言葉は汝らを離れ、 汝らは言葉に見捨てられた。
言葉とともに、分別が失われ、知恵が失われた。 視力が、聴力が、そして歩みさえも失われた。
すべては、言葉が汝らから”WITHDRAW”したためである。
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