ダンテの「神曲」まとめシリーズ再開 😉 この回は第27歌しか見所はない。なので25歌、26歌は飛ばしてもらっても構わない。
第25歌〜第七圏「好色」
ダンテとウェルギリウス、そして道連れのスタティウスらは煉獄頂上を目指して登る。最後の第七の圏には好色の罪を犯した魂らが、燃える火の中で浄められている。
誠に人間に与えられた感覚的・肉的快楽のうち性欲に勝るものは無いからだ。また情欲こそは、ダンテの崇拝する至高の女性ベアトリーチェと彼の間に立ちふさがる深淵であった。
肉欲に眼を眩まされた汚れた心が、どうして久遠の女性に合間見えることができようか?彼らは火の中で苦しみながらも、貞操を守り神へ身を捧げた聖者の名を亡者らが唱えるのを聞く。
第26歌〜詩人たち
火によって浄められている人々の群がダンテに話しかける。彼らは男色その他の好色の罪によって焼かれていた。
その中には詩人のグイド・グイニツェルリやプロバンスの詩人アルナウトがいた。彼ら芸術家ですら性欲の処罰を逃れられないとは。厳しい話である。
第27歌〜炎をくぐる
ダンテらの前に天使が現れた。天使はダンテに燃える火の中へ入るように命ずる。
Rage Against the Machinesの1stアルバム・ジャケットにもなっている、ティック・クアン・ドックというベトナムの僧侶をご存知だろうか。
その僧侶は政府に対する抗議行動として大衆の面前でガソリンを被り、焼身自殺したのである。その映像はWEBなどでも見れるが、即身仏のように火の中で動じることなく、最後に炎に包まれたままバタリと倒れるのである。
ティック・クァン・ドック
ダンテが天使に命令されて想像したのは、自分がそのようになる姿であった。だが師匠のウェルギリウスに励まされた。ベアトリーチェに会いたくないのか?
この火をくぐれば、彼女に会えるのだと。ダンテはその名前を聞くと勇気をふるって炎に入る。
前はウェルギリウスが歩き、殿はスタティウスが勤めた。旧約ダニエル書で、王の偶像崇拝を拒否したシャデラク、メシャク、アベデネゴの3人の青年は、王の怒りに触れて縛られたまま燃える炉の中に投げ込まれる。
炉は彼らを投げ込もうとした刑吏を焼きつくすほどの熱だった。王が火の中を見ると3人は縛めを説かれて自由に火の中を歩き回っている。彼らの前には人のような光り輝く者がおり、3人は主なる神への祈りを唱えていた。
王は驚き、偶像崇拝をやめ、青年たちが信じる主を礼拝した。そのようにダンテたちは火の中を歩いた。
火の中を出でて太陽が沈み、しばしの憩が訪れる。夢の中にレアという女性が出てくる。朝日が地上を照らし煉獄の最後の石段を登り終えた時、ウェルギリウスは自分の役目が終わったことをダンテに告げる。地獄の入り口よりずっとダンテを励まし導き、悪魔どもからも守ってくれた師匠はダンテに告げる。「これからはお前自身の自由な意志を先達とせよ」
額の7つの罪の印を消されたダンテは、創世記に記されている地上の楽園に着いたのである。