小説の闘牛場

マンディアルグ『大理石』第5部「死の劇場」考察|死と象徴の迷宮を読む

【マンディアルグ】「大理石」V. 死の劇場 解説 アルゴリズムの楽模と国家マンディアルグの長編小説「大理石」の第5部「死の劇場」は特に難解な内容である。作者の意図は隠され、読み手はその計算に絶えず忍耐を要される。ここでは、自由な解釈を通して...
プラ保存箱

カブトムシの埋葬と葬儀の記録|3か月を共に過ごした命への手向け

【カブトムシ】埋葬〜お亡くなりになったカブトムシ君の葬儀および法事8月10日、仙台市内のセブンイレブンの灰皿裏で出会った雄のカブトムシ君が、このたび静かに生涯を終えた。捕獲時点ですでに成虫であったにも関わらず、約3ヶ月近く我が家で生き延びて...
星を見てたころ

【天体観測】初めての天体望遠鏡を購入|デカルト的思考から始める星の世界

【天体観測】初めての天体望遠鏡を購入〜“ファースト・ライト”記念最初の認識ルネ・デカルトの著作を読んで思索を深めるうちに、筆者は感覚世界の基本、すなわち「昼と夜」「光と闇」の存在に意識を向けるようになった。デカルトの教え――「明証的に認識さ...
小説の闘牛場

【マンディアルグ】『大理石』第2部「ヴォキャブラリー」解説と考察

【マンディアルグ】『大理石』第2部「ヴォキャブラリー」考察|語彙崩壊と象徴の迷宮アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの長編小説『大理石』。その中でも第2部「ヴォキャブラリー」は、言葉の崩壊と記号の迷宮を舞台にした比類なき寓話である。本稿で...
小説の闘牛場

三島由紀夫『金閣寺』レビュー|狂気と美が燃え上がる“赤い傑作”

【三島由紀夫】『金閣寺』レビュー|完全な変質者による、完全な変質者の書再読して確信したこと三島由紀夫の『金閣寺』を、めぐりめぐって再読した。私にとっては三島作品の“入り口”だったが、初読のときは何がなんだか分からず、ただ文章に圧倒されたまま...
小説の闘牛場

谷崎潤一郎『卍(まんじ)』あらすじと感想|女性の愛と情念の迷宮

谷崎潤一郎『卍(まんじ)』あらすじ・感想|女の愛が絡み合う、黒く艶めく情念の渦谷崎潤一郎が40代に手がけた小説『卍(まんじ)』は、関西弁による女性の独白体で語られる異色作。句読点を極力省き、ひらがなを多用する独特の文体は、読者をじわじわと物...
詩煩悩

泉鏡花『多神教』レビュー|神道・呪術・幻想の戯曲世界

【泉鏡花『多神教』レビュー】呪術と神々が踊る神道的ファンタジア戯曲概要と時代背景泉鏡花の戯曲『多神教』は、昭和2年(1927年)に発表された比較的後期の作品である。鏡花文学といえば明治期の耽美的な散文が主として知られるが、本作は舞台芸術に寄...
小説の闘牛場

谷崎潤一郎『細雪』感想レビュー|姉妹の情と婚活を描く昭和の名作

【谷崎潤一郎】『細雪(ささめゆき)』〜遅すぎる婚活・昭和初期バージョン本作『細雪』は、谷崎潤一郎が第2次世界大戦中に戦火を逃れつつ執筆した長編小説。中央公論での連載はわずか2回で軍部の検閲により中止されましたが、谷崎は筆を止めることなく書き...
小説の闘牛場

『痴人の愛』谷崎潤一郎|ナオミの魅力と倒錯する愛の心理劇【あらすじ・感想・考察】

この小説は文庫版で300ページほど;長編に分類されるが微塵も長さを感じさせず、あっという間に読み終わる。ストーリーは一人称で”です。ます。”調の丁寧な現代語の語り口で進む;しかし谷崎潤一郎先生を読むのであるなら、少なくともこれの前に「刺青」...
詩煩悩

【ホメロス】『オデュッセイア』あらすじと感想|冒険と幻想の原点を読む

【ホメロス】『オデュッセイア』紹介|幻想と冒険の原型がここにあるホメロス——紀元前8世紀頃に活躍したと伝えられる、古代ギリシャの伝説的詩人。その名を聞くだけで、「詩」という言葉が本来持っていた魔法のような響きを思い出させてくれる。現代では甘...