疑似学術地帯

源信『往生要集』レビュー|六道の地獄絵から念仏瞑想まで──仏教救済の書を読む

【往生要集】源信(岩波文庫)レビュー〜六道から瞑想法まで、魂を救う仏典集成概要源信(恵心僧都)は、平安時代中期の天台宗僧侶であり、比叡山延暦寺に属していた。その著作『往生要集』は、仏教受容の成熟期、すなわち聖徳太子と鎌倉新仏教の間、そして空...
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【いろは歌】和歌に込められた仏教の教え|諸行無常と雪山童子の物語

はじめに「いろは歌」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろうか。現代においては、単なる五十音の並び、いわば日本版アルファベットのように捉えられることが多い。しかし、その一見単純な歌には、実は深い仏教的意味が込められていることをご存じだろうか...
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『日本霊異記』レビュー|景戒が描いた因果応報の仏教説話集(講談社学術文庫)

【日本国現報善悪霊異記】『日本霊異記』(講談社学術文庫)紹介〜因果応報の説話集、その精神的ルーツを辿る概要『日本国現報善悪霊異記(にほんこくげんぽうぜんあくりょういき)』、通称『日本霊異記』は、奈良時代の天台宗僧侶・景戒(きょうかい)によっ...
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聖徳太子『法華義疏』とは何か?飛鳥仏教思想の核心に迫る注釈書の真価

【法華義疏】聖徳太子による『法華経』注釈──飛鳥仏教思想の原点をたずねて概要本稿では、聖徳太子(厩戸皇子)による『法華経』注釈書、『法華義疏(ほっけぎしょ)』を取り上げる。参照したテキストは岩波文庫版(上・下巻)であり、それぞれ約370ペー...
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岩出山駅前ラーメンと内川さんぽ|歴史と自然と味に出会う癒やしの半日旅

【岩出山・内川さんぽとラーメン】駅前で味わう極旨2選|有備館と学問の道を歩いて宮城県大崎市、旧岩出山町。かつて伊達政宗が居城を構えたこの地には、静かで風情ある散策路と、地元民に愛されるラーメンの名店が並びます。内川沿いを歩きながら歴史と自然...
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 『法華経』岩波文庫版を読む|日本人の宗教観・倫理観の根源をなす大乗経典

【法華経】岩波文庫(上中下三冊組)レビュー― 日本的善悪観の根源をなす経典の読解 ―概説:仏教受容の基盤としての『法華経』『法華経』(正式名称『妙法蓮華経』)は、大乗仏教を代表する経典の一つであり、仏教が東アジア諸国に広まる際、特に日本にお...
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ハビアン『南蛮寺興廃記・破堤宇子』レビュー|仏と神を捨てた思想の極北

【ハビアン】『南蛮寺興廃記・邪教大意・妙貞問答・破堤宇子』レビュー|仏を捨て、神も捨てた男の哲学東洋文庫と収録作本書は平凡社の名シリーズ「東洋文庫」第14巻として刊行されている一冊である。検索の際はタイトルに注意。「南蛮寺興廃記」で調べると...
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 【精講 漢文】前野直彬先生 著|ちくま学芸文庫の伝説的参考書を讃えるレビュー

【精講 漢文】前野直彬先生 著|ちくま学芸文庫の伝説的参考書を讃えるレビュー帯からわかる、この本の格の違いちくま学芸文庫といえば、小さな文庫サイズに本格的な学術書が詰まったシリーズです。本書『精講 漢文』の帯にはこうあります。「中国の歴史や...
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芥川龍之介「切支丹物」を読む|信仰の違いと日本人の本音

【芥川龍之介】切支丹物・レビュー|日本の信仰と西洋の信仰が出会うときテキスト岩波文庫『奉教人の死・煙草と悪魔』を手に取り、芥川龍之介の“切支丹物”と呼ばれる短編13作を読んだ。個人的には芥川作品の中でも、王朝物のような平安時代の雅な短編に惹...
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鴨長明『方丈記』レビュー|3メートル四方に広がる無常と詩の世界

【鴨長明】『方丈記』レビュー・感想|高校時代の授業と思い合わせて教師との記憶鴨長明の随筆文学『方丈記』を読むのは、おそらく人生で三度目。だが今回は「三度目の正直」とでも言おうか、ようやくこの作品の本質に触れられた気がする。高校時代、私の通っ...