哲学

【秘密曼荼羅十住心論】弘法大師〜感想紹介〜(第五回)

伝来ここで日本の仏教がなぜ今のような形になっているかを考察してみよう。仏教の起こりは古代インドのお釈迦様に遡る。インドから僧が教えを中国に伝え、天竺と神丹共同でサンスクリットの経典の翻訳が行われていく。この時中国にはすでに幽玄な古代の学問や...
哲学

【秘密曼荼羅十住心論】弘法大師〜感想紹介〜(第四回)

誓願禅宗には四弘誓願、真言宗には五大願があるが、形は違えど仏教徒の誓いという点では同じである。また根本的な三帰、十重禁戒、十善戒も然り。これらは本質的な仏教徒の誓いである。すなわち成すべきことは断固として実行し、成すべきでないことは断固とし...
哲学

【秘密曼荼羅十住心論】弘法大師〜感想紹介〜(第三回)

伝達(続き)禅宗にお釈迦様から代々の仏祖により正法眼蔵が単伝されたのが記録されている。中国の祖が達磨であることは衆知のごとくである。そして曹洞宗ではこの正法眼蔵が道元禅師に伝達され、日本に続いたとされている。これは常済大師『伝光録』にあるが...
哲学

【秘密曼荼羅十住心論】弘法大師〜感想紹介〜(第二回)

十住心(続き)これらの密教経典は日本に空海によって伝達されたのであるが、この意味をいまいち私たちは分かっていない。仏教の密教といえば横文字本で馴染みのあるチベット系を思い浮かべる人も多いと思う。実は筆者もその一人で、チベット密教系は大分以前...
哲学

【秘密曼荼羅十住心論】弘法大師〜感想紹介〜(第一回)

概要この本は空海の書物中入手しやすい部類に入る。筑摩書房『空海コレクション』の3と4は上下セットで収録、また岩波書店『日本思想体系』5は一冊で原文・漢文訓読を収録し、凄まじく詳しい註釈と補註・解説付き。今回用いたのは岩波版の古書でありハード...
評論

【仏の血を流す】五逆罪による日本の仏教批判

仏教伝来この記事は筆者が思うところを書くエッセイ風の日本の仏教についてのものである。学術的な確かさはなく、むしろ「仏の血を流し」五逆罪を作りたもうものである。しかし中国の禅語では「仏の血を流す」ことを反対に既存の価値観を破壊する、とも言う。...
哲学

【正法眼蔵】日本曹洞宗高祖承陽大使道元禅師〜岩波文庫版レビュー・紹介・解説

概要岩波文庫版『正法眼蔵』は巻末目録によると”仏教”欄に並ぶ。誰でもよく目にする題名だが、いったいどんな本なのだろう。一〜四巻まである。ずいぶん長そうだ。作者は道元と書いてある。いったい誰だろう。日本人だろうか。何となく難しそうだ、何しろ題...
哲学

【往生要集】源信 (岩波文庫)レビュー〜六道から瞑想の仕方まで 有難い経典の特選集大成

概要源信は平安時代の日本の天台宗本山比叡山延暦寺の僧。したがってその著作『往生要集』の歴史的位置は聖徳太子以後鎌倉新仏教以前、空海・最澄以後、ということになる。仏教は中国大陸から船によって伝来し、我が国の土壌に根深くくい込みながら吸収され、...

【いろは歌】和歌に込められし意味〜雪山童子の羅刹への答え

概要「いろは歌」というものについて、すでに読者はwikiなどによる知識で相当なことを知っておられるかと思うので、今回はここで筆者の「いろは歌」の記事を書く機縁となった事柄および気付くこと等を述べていくにとどめたい。いわゆる個人的なレポートの...

【日本国現報善悪霊異記】『日本霊異記』講談社学術文庫・紹介〜因果応報の説話集

概要『日本国現報善悪霊異記』とは、奈良時代の僧である景戒(きょうかい)が書いた説話集で、通常「日本霊異記」と呼ばれる。古語辞典の古典文学年表のほぼ突端に書いてあり、太字の”超重要”作品のひとつ。”超重要”とはつまり、日本人であるならば絶対に...