疑似学術地帯

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【Book of Jasher】英訳版レビュー|聖書外典の中の伝承と宗教思想の交差点

英訳『ヤシャル書』の歴史的位置と宗教的・学術的考察書物の由来と基本情報(英訳と現代的入手性)『ヤシャル書』(Sefer ha-Yashar, 「正しい者の書」の意sacred-texts.com)は、旧約聖書で言及される失われた古代文書にち...
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【ポリフィルス狂恋夢】英語版レビューと象徴の迷宮|夢・エロス・芸術の総合書物を読む

『ポリフィルス狂恋夢』英訳版レビュー書誌と初読印象『ポリフィルス狂恋夢(Hypnerotomachia Poliphili)』は、1499年ヴェネツィアで刊行されたフランチェスコ・コロンナ作の奇書であるfpba.com。その全篇英訳が初めて...
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【ヘルメス文書】Tarl Warwick版レビュー|翻訳の問題点と神秘思想の本質を解説

タール・ワーウィック版『コーパス・ヘルメティクム』の批判的レビューと思想解釈1. 書籍情報と翻訳に対する批判的評価タール・ワーウィックによる英訳版『コーパス・ヘルメティクム』(副題『ディヴァイン・ピマンデル』)は、2015年頃に自主出版され...
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 【正法眼蔵を読む】道元禅師の宗門思想と翻訳文化の深層|文語体レビュー

【正法眼蔵を読む】曹洞宗高祖道元禅師の遺言たる宗門の至宝一、緒言『正法眼蔵』なる書名は、仏教に親しまぬ者とて一度は耳にしたるものなり。されど、その実に手を取る者は稀なり。何故ならば、岩波文庫版にして全四巻、各々四百五十頁を超え、古語と漢語と...
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【竹取物語】岩波文庫版レビュー|かぐや姫と平安文学の美を読み解く

はじめに「かぐや姫」の物語──日本人であれば、誰しもが幼い頃に一度は耳にしたことのある昔話だろう。それが『竹取物語』である。この物語の印象は、文字を覚える以前、言葉として私たちの耳に届いた最も古い記憶の一つかもしれない。『竹取物語』は平安時...
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『荘子』岩波文庫版から読み解く道思想の本質と無為の哲学

『荘子』を読み解く:無為と「道」への誘い中国戦国時代末期に成立した『荘子』は、老子の『道徳経』と並ぶ道家思想の中核をなす古典であるen.wikipedia.org。近年では、老子・荘子の老荘思想に魅かれる人々や、禅仏教の哲学的背景を探る人々...
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『抱朴子』と道教思想の核心|仙人・仙薬・不老不死の理想を探る

『抱朴子』の概要と道教思想中国古代哲学では、天地万物の根源としての「道」の考え方が老子・荘子に代表される道家思想として古くから語られてきたja.wikipedia.orgy-history.net。晋代の道教学者・葛洪(283~343年)が...
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 『碧巌録』を読む|禅語録とシュルレアリスム的思考の交差点に立つ

『碧巌録』全三巻読了後の学術的考察序論:『碧巌録』との出会いと読書動機岩波文庫版の『碧巌録』全三巻を半年ほどかけて読了した。『碧巌録』は宋代の禅僧・雪窦重顕(雲門宗4世)が古来の百則の公案を集め、『雪窦百則頌古』を編んだのち、圜悟克勤(臨済...
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谷崎潤一郎訳『源氏物語』「夕顔」巻を読む|幽玄と怪異が交錯する古典の美学

幽玄なる『夕顔』巻:谷崎潤一郎訳による美意識の継承序論平安文学の頂点たる『源氏物語』は、その幻想的な語り口と幽玄な美が今も人々を惹きつけてやまない。特に第四帖「夕顔」は、主人公光源氏と〈夕顔〉との儚い恋物語が夜の闇の中で悲劇的に結実する、い...
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コペルニクス『天体の回転について』第1巻を読む|地動説の哲学的出発点

コペルニクス『天体の回転について』岩波文庫版(第1巻)書評岩波文庫版と書誌情報ポーランドの天文学者ニコラウス・コペルニクスの『天体の回転について』は、もともと全6巻から成る大著である。しかし岩波文庫に収録されているのはその第1巻のみである。...